医療崩壊始まる コロナ重症者沖縄本島ヘリ輸送

 1月12日午後4時から第69回八重山地区新型コロナウィルス感染症対策本部会議が開催された。

 この日、6人の陽性者が発表され、10日3人、11日2人と続いて、この3日間で11人となる。

 会議後、記者団への篠崎裕子八重山病院長および上原真人医師から話されたのは、15人のコロナ入院患者の数は、深刻度を増している点。コロナ患者へ医師や看護師を振り分ける必要から、本日遅らせる手術が3件発生したことが発表された。

 先週より手術の延期ははじまっており、今回の公表に踏み切ったのは、八重山病院における危機的状況を知ってもらうためだという。

 また本日、重症患者が発生し、それは3人目で、コロナ重症患者用のベットは2台なため、沖縄本島への搬送要請を本庁の対策会議に打診して、受理されたことも公表。

 自衛隊によって搬送されるもので、患者は60代男性で石垣在住。職業は確認中。1月12日に、市内のクリニックから八重山病院へ救急搬送され、保険PCR検査で陽性が判明。容態は重症。

 60代男性ということもあり、ヘリの飛行する高度に耐えられると判断。輸送が決まった。

 今回、たまたま沖縄本島に受け皿があったものの、沖縄本島のコロナ事情はひっ迫しつつあり、搬送先の病院がいつもあるとは限らないとのこと。

 今後、コロナ以外の重症患者は、沖縄本島の病院へ搬送して治療してもらえるようにしていきたいという。

 八重山病院は、増えるコロナ陽性患者に対し、八重山でのコロナ対応と、一般診療の切り分けをして、両方が維持できる医師・看護師の配置バランスを細かにコントロールしていく必要が出てきている。

 目下、冬場におこるよくおこる疑似患者が、コロナウィルスでも4人発生しており、その対応は、陽性と判明しないが、症状が極めて見逃せない患者で、対応を判断できないために隔離個室を用意することとなり、今後この種の患者が増える可能性が高まってもいるという。

 また、大きな問題は手術に関する部分。八重山病院の麻酔医師3人がもしコロナにかかれば、手術ができないという事態になることを考えると、かなり厳しい状況が迫っていることになるとも述べた。

 一週間に3件はコンスタントにある大腿骨折患者が、手術できない状況になれば、病院のベットはその患者にあっという間に占められてしまう。また、帝王切開などの急を要する分娩手術もできなくなる。

 篠崎病院長は「市民のコロナ対策のさらなる徹底をお願いしたい」と、危機的状況にある八重山病院への感染対策への協力をお願いしていた。

 最後に、上原真人医師は
「医療崩壊の定義をキャパシティーオーバーととらえれば、これは医療崩壊です」と、きっぱり最悪な状況が始まっていることを述べていた。

 なお、八重山病院には一昨日でた重症患者で二人となり、重傷者受け入れ不能にある。

 いつ重症化するかわからない中等症患者二人もおり、ほかの軽症入院患者11人で、八重山病院のコロナ対応能力15人の限界に達している。

 これに、前述の疑似症とされる4人が控えて、いよいよ待ったなしの状態。

 民間の徳洲会病院が支援に入って、軽症5人が入院しており、宿泊施設には10人が入所。自宅待機が1人で、八重山には31人のコロナ陽性者が不穏な日々の中にある。
 
 八重山の人命を守る意味でも、その中枢の八重山病院の一般診療をいかに維持するか。

 それには、感染者を出さない手洗い・マスク・ソーシャルディスタンスなどの配慮が、個々人でいつも優先されねばならない。

 そこへの徹底で、かつ経済活動を維持する工夫が、これからのウイズコロナの時代に、利いてくるというもの。

 すでに市中で、薄く出回るウィルスがあることを踏まえ、あるいは無症状のコロナ保持者が多数いることを忘れないこと。

 寒くなり、乾燥化したこの冬場なればこそ、保持者が拡散したウィルスは、夏場よりも長く生存し続ける。それで感染も広がっていくというもの。

 なお、この日、石垣市長が同席した記者会見で、市長は7日から20日の不要不急の外出自粛期間を、31日まで伸ばすことを述べていた。

(流杉一行)

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