児童らとカンムリワシの放鳥

 傷ついた国の特別天然記念物カンムリワシが回復して、自然に返され、子ども達がそれを感激しながら見守った。

 9月29日午前9時から前勢岳東の波ん馬ホースライディング牧場で、環境省石垣自然保護官事務所によるカンムリワシ放鳥がおこなわれた。

 この日、放鳥されたカンムリワシは体重980グラム、全長49.5センチの雌の若鳥で、今年2月27日、同牧場の南の県道79号付近で交通事故に遭い、保護されていた当時幼鳥の個体。玉寄動物病院で治療を受け、石垣やいま村のリハビリ用のカンムリワシゲージで保護され、このほど回復したことからこの日放鳥となった。

 この日は、大本小学校(引率は木本邦広教諭)の児童7人が放鳥現場を見学。

 同校は複式学級の小さな小学校で、自然環境に恵まれ、野鳥が数多く見られる場所にある。

 日本野鳥の会の指導者から野鳥観察を学んだことから、同校の伝統の取り組みとなり、生徒一人一人が自分の好きな野鳥1種を決め、また学級ごとにも1種決めて、その野鳥を詳しく調べ、観察課題に取り組んでいる。

 長年同校の伝統の学習となっており、20年前にはオオハゲワシが飛来して保護されたときには、同校の野鳥観察に熱心なところから日本野鳥の会八重山支部からの依頼で、同校の施設に収容され、注目を浴びたことがある。

 石垣やいま村のカンムリワシゲージ担当の渡久山恵さんがカンムリワシの入った段ボール箱を手に児童たちの前に立ったあと、仲本光寿自然保護官補佐が放鳥したカンムリワシの経緯を説明。県道号で交通事故に遭い右羽が骨折。治療をしたあとリハビリを経て元気になったので、今回放鳥となったと述べていた。

 カンムリワシの重さを実感できることから、子どもたちに段ボールを持たせるなどしたあと、渡久山さんはカンムリワシをゆっくり取り出した。子どもたちは間近でカンムリワシに見られたことで、驚きの歓声をあげると、その姿に少し静かになって目を丸くして凝視していた。

 渡久山さんから、「子どもの羽がまだついています。けれど、これから一人で生きていかなくちゃいけないです。」と、若鳥カンムリワシの試練に触れ、「8」の足環が付けられていることを説明。皆さんで名前を付けてほしいと依頼された子供たちは、突然のことに思いつかない様子。

 このあと、さっそく放鳥となり、開けた牧場の一角から森へ向けて、地面にカンムリワシを置くと、飛び立つことなく歩いて草むらに入り、歩いて移動して藪に入るなどしていた。

 子供たちは、様子を双眼鏡で観察。道に出て、周囲を見回すカンムリワシを気が済むまで双眼鏡をのぞき込んでいた。

 3・4学年はカンムリワシの担当で、3年生の氏田如音さん(8)は「飛ばなかったのは残念でした。近くで見られて楽しかった。若鳥だから見て小さいと思ったのと、羽の色が違ってた」と感想を話してくれた。

 この日、大勢が来ての放鳥でカンムリワシはプレッシャーがあったようで、この先の森を目指す余裕がなかったのではないかと、渡久山さん。ゲージではしっかり飛んでいたとのこと。
 
 仲本光寿自然保護官補佐は、カンムリワシが交通事故に遭わないよう法定速度を守ってほしいと述べ、法定速度を守っていれば、咄嗟のカムリワシの飛び出しにも対応でき、事故が防げるとしていた。
 
 なお、環境省同事務所は、カンムリワシの交通事故が起こった県道周辺に、カンムリワシの注意喚起の看板を検討したいとも、述べていた。

 子供たちに命名をお願いしていた件。話がまとまり「ククル」と命名したとのこと。8の数字の足環があるカンムリワシを見つけたら、それは「ククル」という名のカンムリワシということになる。

(流杉一行)

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