9月21日、午前9時頃、石垣島南部のバンナ岳に広がるバンナ公園内に多数の渡り鳥が飛来しているのが見られた。
バンナ公園Bゾーンのスカイラインの渡り鳥観察所からは、アカハラダカの渡りが見られた。北風とともに流され来る雲から、黒い粒に見える鷹が次々に現れ、次第に降りてきてくるものや、南西に向かって飛び去るものなどが見られた。
すでに島に降り立ったものが、上昇気流に乗ろうと、次々に湧いてくる光景も見られ、大空をバックに見応えある大自然のショーが展開。この日集まった愛鳥家は、カメラや双眼鏡を手に、朝鮮半島や中国大陸から対馬や烏帽子岳を経由して、南下してきたたくましい鷹の群れを確認。大自然で展開する渡り鳥の南下のドラマを見て、大自然の不思議を実感していた。
この日の飛来は約350羽で、台風9号が去った直後に、大陸からの台風が起こす北風に乗って3羽ほど南下。その後、しばらく南風が続き、見られないまま、15日あたりから3羽ほど見られて、徐々に数が増え、20日夜に北風が吹くと、あくる21日、次々に現れるアカハラダカの群れを見ることができた。
このアカハラダカは、鳩サイズの小さな鷹で、多数の個体が上昇気流に乗ろうと集まって、旋回を繰り返し、多数で鷹が旋回するため柱を形成。鷹柱と呼ばれて、愛鳥家にはこれを見るのを楽しみにする人が多い。
この日は、旋回する様子はあったものの鷹柱がつくられるほどではなく、これから多数が南下してくれば、鷹柱も見られる可能性が高くなる模様。
アカハラダカが見られる時間帯は、午前7時半から10時頃までの3時間半で、鷹柱が見られるのは9月下旬頃まで。少ない数の個体はしばらくぽつりぽつり見られる。
なお、この時期はハリオアマツバメやハヤブサも見られることもあり、ラッキーな出合いはうれしいかぎり。
10月にはサシバの季節となり、ひとまわり大きな猛禽類らしいタカの鷹柱が次の愛鳥家の楽しみとなる。
(流杉一行)
ちなみに、16日に33羽、17日に13羽、18日に6羽と、南風では数は揃わず、20日の北風で一気に21日は350羽と増加。このまま右肩上がりかと思いきや、22日は78羽と振るわず、本格的な鷹柱にはお目に掛かれていない。