6月7日午前10時から、石垣市役所ピロティーでのおさしみクーポンの販売が行われた。
このクーポン券1枚が400円で販売され、水産物がこれで500円分購入できる。
これは、石垣市水産課によるもので、5月1日の第1弾、5月11日の第2弾に次ぐもの。
午後4時まで販売は実施され、この日約3000枚が販売。
第1弾、第2弾はそれぞれ5000枚だったが好評のため、第3弾は1万枚を用意。残る7000枚も、8日からは市役所ピロティーと八重山漁協のある新栄漁港で販売が続けられる。
新型コロナウィルス感染拡大を阻止するべく自粛を呼び掛けて、第一波は乗り越えた感があるものの、招いた経済停滞は日本全土で深刻なままにある。
雇用維持や事業所存続に、家賃の支払い困難も忍び寄り、厳しい状況が続く中、政府の外国人観光を外貨獲得手段としたインバウンド政策も、コロナ対応方法から見直しが迫られる。
石垣島も新空港開港以来、観光へ依存大の傾向から、コロナ禍の影響は多大。コロナウィルスの感染に関しても、島での陽性患者4名の発生で、クラスターの可能性も発生し、島全体で怯えたことが記憶に新しい。
そんな中、夜の居酒屋での呑みあるきを抑える自粛の空気で、家で呑むのに好評となったおさしみクーポン。
地元の魚の新鮮刺身を食べようと、島内需要の拡大も兼ねたこの取り組みは第1弾・第2弾とも、発売から3日を待たず完売が続いた。
今回は、販売枚数を倍にして休日に販売をスタート。この日、運悪く昼頃には雷雨が激しくなり、一時停電も勃発する中、それでも順当に売れている。7月末まで使えるものとなるおさしみクーポンは、新鮮な地元の鮮魚の売れ行きを確保するとともに、海産物全般もさしみ屋で購入可能で、加えて今回から、JAファーマーズマーケットゆらてぃく市場での水産物の購入も可能となっている。
少々残念なのが、この6月7日の第3弾発売日が、本マグロを最終水揚げした漁船の帰還日。前日の6日午前0時をもって採捕停止が決まったからだ。
資源保護の観点で捕獲制限下にある本マグロは、前期割り当て207・7トンの95%に達したためだ。7日に今季最終の本マグロ漁を終えて戻った船が、八重山漁協に集結。(まだ3隻は戻っていないが)
最後の本マグロを積んだ漁船が束になって帰還した日に、おさしみクーポン第3弾の販売となった。
7日の到着船、運搬中の船が持つ本マグロ数の合計は51本。
7日はANAの羽田直行便が2便とも就航しており、18本が羽田へ輸送。八重山漁協の荷上場への水揚げ数は、この日、37本にのぼっている。(ほかは3隻が運搬中)
次のANAの羽田直行便は12日と14日。その前の6月10日には、八重山市町会による貨物チャーター便が飛来する。伊丹経由の羽田便だ。
豊洲市場への送付にも力が入ると思われるが、地元への本マグロの販売にも、市民には期待度が増してくる。
緊急事態宣言が解かれ、市場が本格的に動き出し値が良くなると同時に、沖縄の本マグロ捕獲が制限数となったのは不運かもしれない。
しかし、今年は漁獲制限があるにもかかわらず、500本に迫る勢いを見せた八重山漁協の本マグロ水揚げ本数。
本土へは那覇経由でしか送れず、限られた便数ゆえ、本土に送れないために、地元に回った本マグロは増えた。
当然、いつもより質のいいものが出回った。新型コロナウィルスの影響で石垣市民には、ちょっとした不幸中の幸いかも。(記者は本土で生の本マグロを食べたことがない。ちょっとしたなんて・・・贅沢!)
コロナ禍の自粛で静まりかえった島。一方で延縄船、集魚灯船、漁協と、(運送関係者も航空会貨物作業員も)巷とは逆に本マグロと格闘して熱い日々が続き、ようやく一段落。
まだ、油断できないコロナウィルスで、若干続く自粛モードだが、彼らはようやく一息つけるというものらしい。
クーポン券販売の現場に立つ平良水産課長は、「脂の乗ったキハダマグロもおいしいですよ。」とキハダの旨さもアピール。本マグロの代替ができるほどではないにしろ、上物が島で出回っているとすれば、買わない手はない。食べてみなければ、良さもわからない。
四か字ハーリーが中止で24日に祈願だけが実施されるが、この日の前後にカツオ漁もはじまる。新鮮刺身にはことかかない八重山のすばらしさを、実感できるクーポンだ。
なお、この日は隣で車えび(石垣車えび養殖)が40尾から50尾(500g)で1000円の割安販売も実施された。クーポンを買いに来る人の中に、ワンパック1000円の、きりの良さで購入する人が続出していた。
(流杉一行)