宿泊施設が感染防止協定  大丈夫か空港の熱チェック

 6月1日午後2時から石垣市役所2階庁議室で新型コロナウィルス感染症感染防止協定調印式が開かれた。

 協定書は宿泊者への感染防止対策を万全にすることを基本としており、なかでも感染した場合、平均5~6日で発症することや、発症する2日前からウィルスを排出する傾向から、原則1週間以上の滞在者の受け入れを推進するというもの。

 また、一週間未満の滞在者を受け入れる場合であってもチェックアウト日以後3日目の健康確認を実施して拡大防止に努めること。

 このほか、滞在中の宿泊者の検温・健康チェック、外出時マスク着用、三密回避、手洗い、手消毒など感染予防策を講じるなど徹底した感染防止策をすること。

 宿泊後の3日間の健康観察を事前以来し、3日目の宿泊者への直接電話や電子メールなどで連絡し発熱、体調不良などの状況を確認。発熱・咳などの風邪症状があった場合は石垣市企画部観光文化課に連絡することなどが、定められている。

 施設内では、感染防止対策の徹底に加え実務責任者の設置も協定書に定めて、市への報告をすることが記されている。

 調印式は、石垣島ビーチホテルサンシャインの赤城賀子代表取締役社長と中山義隆石垣市長との間で取り交わされ、両者ともに挨拶をしていた。

 赤城氏は「市長には観光のリーダーシップをとっていただきありがとうございます。この協定書にそって、ホテル独自のマニュアルをつくって参りまして、観光客も石垣市民も笑顔で接していけるように、私たちも頑張りたいと思います。」と述べ、
 石垣市長は「石垣市は6月1日から観光客の受け入れをしたわけですが、観光客も安心して来島でき、石垣市民も安心して受け入れられるには、対策が万全な実例があってはじめて可能で、今回、はじめて協定書が結ばれ、ほかの宿泊施設に見本となるような対策を実施していただけると思う。石垣市は、今後もほかの宿泊施設や飲食店と協定書を結んでいきたいと思っています」と述べていた。

 この日、石垣市長は発熱チェックカードを記者団に配り、即座に検温できる手軽なカードがあることを発表。これを各観光施設に配布するなどして、感染防止策の徹底に向け取り組んでいくことを表明していた。

 なお、第一号となった石垣島ビーチホテルサンシャインには、「アマビエ」のステッカーが贈られる予定で、まだ出来上がっておらず、この日は手渡されなかった。この第一号の協定書調印から、続々宿泊施設との協定書調印がおこなわれるとのこと。
 

 さて、3日目の健康確認を業務に取り入れることは、ホテル業務にはなかったもの。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐことが、今後の観光業務には大事なことになっていくとすれば、この新たな業務を早く馴染み、徹底できる体制作りは、今後の観光地には大切な要因になる。

 ただ、どれだけ真剣に取り組めるかが、重要となる。ただ、感染が判明する影響大きさを考えると、早期に動けなければ、島全体が命取りとなる業務でもある。重要なポストであることに間違いはない。

 この日、石垣空港は6月1日を迎えて、若干の増加は見られたが、全体には観光よりもビジネス系の人の出入りが目立った模様。ただ、宿泊施設の運用体制が整えば、来島者も増えるのは間違いない。

 空港出口の熱に反応する熱感知器(サーモグラフィー)が5月中頃から高度化して、体温を数値で示すほどに進化している。

 ただ、相変わらず一台で運用され、故障や不具合が出ても、発熱者をひとりでも逃すという一大事だけでなく、機械の不具合自体も検証できないまま使い続けることにもなりかねない。果たして、この機器の八重山全体にかかわる重要な役割が理解されているのか。

 また、発熱者を発見しても、名前も連絡先も書かずに去る人がでても、対処法がない。なんらの強制力もないためだ。

 対応する係員も常時一人から多くて二人。これでは、構えの甘さから楽々通過可能と、ネットで触れ回られたらどうするか。どんなタイミングでPCR検査を実施するのか。

 ホテルで感染者が出た場合のホテルの影響力、医療への影響、島の経済の影響大きさを考えた場合に、この体制でいいのか。空港で見つかった発熱者に対し、強制力を持てるように、離島での期限付き「特区」扱いを国に要請することも、必要ではないか。

 少なくとも、熱があるにもかかわらず、名前も連絡先も言わなければ、動画の公開をすることを触れ込むなどして、それが可能な状況を法的な特区扱いで、確保すること。

 必死で動く必要のある場所で、機械1台にし、キャッチしたら、保健所へ丸投げ体制では、危険な経済優先にならないか。判明した場合は、航空機乗客全員にも影響が及ぶもの。各宿泊施設側が、隔離スペースを用意できるのか。ホテルまでの運送はどうなるか。

 まず、空港の機械を早期に台数追加。島を離れる帰りの便にも、サーモグラフィーを用意。万が一の待機場所も、密にならない場所を用意しなければならない。この業務に関係する人の服装は、マスクだけでいいわけがない。

 発熱者が出ることを前提に、もれなく体制が組まれているかを、今一度検証してほしいところだ。

 (流杉一行)

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