2020年2月13日、午前10時頃、石垣市中央運動公園内のブルペンで、千葉ロッテのドラフト1位の佐々木朗希選手がキャッチャーを相手に25球の投球練習を披露した。
キャッチャーを座らせず立ったままでの投球で、平地のキャッチボールとは違う傾斜あるブルペンでの投球がこの日初めて披露された。
すさまじい速球に、見に来たファンやマスコミ陣は固唾を飲んで球威に集中していた。
キャッチャーミットに入る時の一際大きな音がブルペンに響いた。
この日、佐々木朗希選手の球を受けたキャッチャーの柿沼友哉選手は、
「いままで受けてきた人のボールと違いました。速さももちろんですが、球の質などはじめて感じるものがありました。スピードは、体感で155キロぐらい出ていたのではないかと…、強さも切れもそれぐらいに感じましたし、こちらも負けないように力が入り、受けた左の前腕が衝撃で張ってしまいました。すごい魅力的な真っ直ぐを投げるピッチャーだと思います。今後がたのしみです」
と記者に述べた。
ブルペンでの初投球の直後、声かけに近づいた吉井理人投手コーチは、佐々木朗希選手の投球に関し記者団に対して、
「凄かったですね。驚きました。あんな球を投げる奴はみたことがないですね。今日は何も言わず投げさせ、どんな球を投げるかをみました。力みはありましたがそれは普通のこと。これからどう修正していくかみていきたい」と述べ、
「今後もブルペンでのキャッチャーを立たせた形での投球をさせ、本格的な投球練習はまだ考えていません」と、慎重な姿勢を見せていた。
「傾斜で投げると強くなるとは思っていたが、その通り強かったですね。投球に関して本人はしっくりいっていなかったようですが」とも述べていた。
井口資仁監督は、
「佐々木は、立ち投げではありましたが威力のある球で、想像以上に仕上がりがいいと感じました。まだ調整段階ですが、今年ブルペンで見た中ではナンバーワンかなと思います。自分の想像よりはるかに良かったので、次回のピッチングも楽しみですね」
と絶賛した。
当の佐々木朗希自身は、
「傾斜を使って投げれてよかった。技術的なこともトレーニングもひとつひとつ精度を上げ、より良いものにできたらと思います」と語った。
また、「1軍選手の投げるブルペンが見られてとても勉強になりました」と、向学心が高いところも見せていた。
今年の千葉ロッテキャンプには、例年よりも多くのマスコミが集合し、連日熱のある取材に花が咲いた。それは、この日本の球界が最も注目する佐々木朗希選手が千葉ロッテに入ったためだ。
甲子園で160キロ以上の速球を投げてみせる怪物ぶりに、マスコミ各社の注目も大きい。
テレビやスポーツ紙どころか一般の大手週刊誌までカメラマンを派遣する熱の入れようで、その影響はキャンプを見に来る人の数にも影響していた。
いつもの1軍キャンプ終了日と明らかに違うのは、やはり佐々木朗希選手がブルペン入りするのを観に集まったファンの多さだろう。
平日にかかわらず、しかも午前で練習は終了し、紅白戦などのゲームがあるわけでもないが、今までにない大勢のファンが見守る中での、1軍打ち上げの手打ちが行われた。
最終囲み取材で、井口監督は今回の石垣島キャンプに関して、
「天候にも恵まれてしっかりと調整ができたと思う。明日から試合も始まるが、そのための準備がしっかりできたと思う。若い選手がしっかりと引っ張ってくれ、新人も含めてレギュラーになる気持ちでしっかり取り組んでくれた。逆にベテランが引っ張られているキャンプだったかなと思う」と述べていた。
また、「明日から対外練習が始まりますし、選手内での競争がはじまると思う」と、結果を求めて選手の奮起をうながしながら、「開幕に向けて調整していきたい」と、開幕戦に向けた真剣な姿勢をのぞかせていた。
(流杉一行)