後生の正月 ジュウルクニチ(十六日祭)

 2020年2月9日は旧暦1月16日に当たり、この日はジュウクルニチ(十六日祭)と呼ばれ、家族そろってお墓で祖先と会食をする日。

 午後1時頃には多くの車が、島中の各地のお墓を目指して移動。墓地近くに数珠繋ぎに並んで、平素は静かな一角に賑わいが生まれていた。

 この日は、たとえ平日に当たっても、商業施設は午後から半日休みをとったり、小中学校は午後から児童生徒は帰れたりして、地元の風習を尊重する傾向が島にはある。

 今回は日曜日となるなので、商業施設は普通に休みやすく、お墓に集まり、家族・親族で団らんの時間を過ごしていた。

 石垣市登野城の県道87号沿いの墓地が集まるエリアでは、たくさんの人が料理を手に集まり、各々の墓前で手を合わせて、先祖へ感謝の気持ちを伝えていた。

 この日、上原秀政さん(65)のお墓では、妻の有代(57)さんと息子の秀太(26)さんが、お供えした料理の前で手を合わせて、十六日祭を祝っていた。

 有代さんは「十六日祭が好きなんです」と、開口一番その想いを、料理に託していることを述べ、多彩な料理が詰められた折を見せてくれた。

「これがミヌダルといい、豚肉に黒ゴマをすったものを付けて蒸した料理で琉球料理です」と、手の込んだ料理を紹介。
※三枚肉の下の黒い肉がミヌダル

「私自身ガチマヤだから、先祖が喜ぶ料理をつくることが好き」と、シナチクと昆布をあえたスンシーも教えてくれた。好きな料理も中華料理店で購入して並べた(龍翔園のユバニクマキがお薦めとのこと)。

 小浜島出身で墓が島になかった有代さんは、幼い頃、十六日祭になると隣近所の人について行って、いろんな料理を食べるのが楽しみだったと述懐。楽しい思い出から、今は料理をつくる方に楽しみが移行したという。

 この日、日曜日にしては、車の行き来が多いのは、親族・親戚のお墓や仏壇を巡る人が多いため。そして、新年を祝い、故人を懐かしむ大切な一日が過ぎた。

 (流杉一行)

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