12月3日から石垣市立図書館のカウンター前の特別展示コーナーで宮城信勇追悼展が開催されている。
この日、図書館に訪れる市民が、パネルで展示された宮城信勇氏の写真を眺めたり、展示資料や用意された新聞に掲載された記事などを読むなどして、これまでの足跡をたどっていた。
氏は「八重山生活誌」の編纂で著名な宮城文の長男として知られ、1977年には「八重山ことわざ辞典」を刊行。
2003年には石垣方言辞典を完成させ、八重山の方言研究家として、東恩納寛惇賞、吉川英治賞を受賞。今年9月16日に老衰で逝去されている。
同図書館長の桃原直氏は「もっと広いスペースで追悼展を開きたかったが、スペースのスケジュールが決められており、また資料の収集に割く時間も限られ、小さなスペースでしか展示できないのは、残念です」と述べ、八重山の方言に情熱を傾けて研究された石垣市には大切な人であり、亡くなってもその業績を知る場所にこの図書館があるとのこと。
「多くの若い市民や、将来島を担う子供たちにも、宮城信勇氏のことを知ってもらい、研究を志す人材につながれば」と、展示物の少ない資料展ながら開催したことを述べていた。
桃原氏は、これをきっかけに、宮城信勇氏にまつわる資料があれば、是非とも寄贈していただければと、石垣市の名誉市民である宮城氏のより充実した資料展の開催にも意欲を見せていた。
今回の展示では、伊波普猶賞受賞の新聞記事や、2002年2月に同図書館で開催された「八重山の文化~ことわざを手がかりに~」の写真や、八重山ことわざ辞典、石垣方言辞典などの著書の展示や、新聞に掲載されたエッセイや論考、講演記録などが数多く用意され、読めるようになっている。関連資料として宮良当壮氏が宮城文氏に送った手紙や、また、宮城信勇氏から委託された資料として図書館にある「八重山郡各小学校の復興記写真帖」(昭和11年)などが披露されていた。
この写真帖は、台風で八重山のほとんどの小学校が被災し、その復興に島が自力で尽力し、成果を上げた様子が載る貴重な写真が掲載されているもの。きびしい自然と向き合いながら、教育に情熱を傾けた先人の業績を大切思う姿勢が、その資料に感じられる。
この追悼展は、今月28日まで開催されている。
(流杉一行)