8月25日、午後1時から石垣市新川にある県立青少年の家で「瓦でシーサーづくり」が開催され、親子・友人12グループと3個人の36人が参加。
唯一の一体となる個性的な23体のシーサーを製作して楽しい時間を過ごしていた。
今年の8年目の「瓦でシーサーづくり」は、第一回から野底の豊島咲美さんが講師となって開催されており、この日も参加者のテーブルをひとつひとつ巡って、細かに指導していた。
夏休みに親子でものづくりができるとあって、応募した親子らは意欲的な人がそろった模様で、豊島さんの最初の漆喰の扱いの説明から一気に制作が終わりまで続き、第2陣の説明不要となる熱心さ。土台と胴体の制作のあとに頭部の説明を予定するも、参加者は先に進む進む。
湾曲した瓦の上に胴体や足を安定するように、小石を挟みながら漆喰を詰めることや、上あごの歯は逆さになるため、先につくって、早めに固まるように手順を説明。
シーサーの目玉やしっぽの部位を選んでから、グループごとの各テーブルで、見本の完成品を参考にしながら、最初は子供たちが、物珍しさから制作に着手。
手伝う親も漆喰を埋め込みながら、やがて子供よりも熱中する人も出て、各テーブルごと有意義な時間を過ごしていた。
昨年に参加して、今年も連続参加し、昨年は口を開けた「あ」で今年は口を閉じた「うん」の制作と、「あうん」の対を完成させたいと加わった人もおり、昨年の「あ」の作品の写真を見ながら制作する人もいた。
「親子でいっしょにつくる機会はないので、楽しいですね」と、喜ぶ親子はものづくりの意外性ある面白さに目覚めたように思わず「めっちゃ楽しい」と喜ぶ声を会場に響かせていた。
5人家族で参加した小島順平(41)・香南子(40)さん親子は、昨年愛紗(7)ちゃんが挑戦して、今年は小島綾晟(4)ちゃんが加わり姉弟で2体の制作に挑戦。「あ」と「うん」を親子で相談しながら制作。
「おとうさん見て」と、はじめての作業に挑戦する4歳の綾晟ちゃんは、父の評価を受けつつ、制作に熱を揚げていた。
母の香南子さんは「こどもの成長ぶりを残す意味でも、毎年そろえていきたいですね」と、来年も挑戦したいと意欲満々。家族でシーサーづくりを満喫していた。
この日、参加した小学生のひとり宮根朔(さく)君(9)は「最初は、簡単にできると思ってやっていたが、実際アゴの部分が難かしかった。」と、苦労した感想を話して仕上がったシーサーとの記念撮影にポーズをとっていた。
講師の豊島さんは県立美大出身で染織が専門。シーサーづくりは趣味とのこと。「屋根瓦のシーサーが好きで、20年前から頼まれたら協力してきました。8年前から『瓦でシーサーづくり』の講師を続けています。」という。
シーサーの魅力を尋ねると「怖さや強さとともに、愛嬌を感じるんですね。」とのこと。「家族で作ったシーサーがどこの家にもあるのが夢です。瓦の上につくることにこだわってます」と、シーサーのある風景に魅了されている模様。
かつて建築した大工の棟梁が、余った漆喰と瓦でつくったとされる屋根瓦のシーサー。八重山の台風に耐えるシーサーは、それなり腕の良さやものづくりセンスを、広く見る人に示すものにもなったことは考えられる。
シーサーが魔除けになる意味も、棟梁の漆喰扱いの腕の良さが示されてのものだとすれば、わかりやすい。
(流杉一行)