1月13日、午前9時から2019年新春凧あげ大会が今年も石垣市と八重山凧愛好会(平田正明会長)の共催で開催された。
今回は、場所を多田浜パークに変更。例年、サザンゲートブリッジの地先の南ぬ島公園に隣接した埋め立て地を利用してきたが、今は浚渫した土砂が貯められて利用できなくなっており、この多田浜グランドゴルフ場で知られる同パークでの開催となった。
この日のために凧を製作し、家族で凧あげを楽しもうと、多くの人が参集。受付にはハッカク、ピキダー、アヨウといった伝統凧や、干支の文字だけの凧やアンパンマンや鷲、家、ヤッコさんなど創意工夫で作られた自由凧などが続々持ち込まれて、八重山における凧熱の健在ぶりを見せていた。
最初は、風が弱く、なかなか上げられない凧が何度も風を待って何度も挑戦するシーンが続出。
親子で何度もトライする中、しばらくして、風がわずかづつ起こりだすと、会場の空では次第に凧が増え、少しづつ正月らしい雰囲気が生まれていた。
八重山凧愛好会の添石邦男さんによれば、沖縄の凧は足とされる部分が紐でできており、Yの字に垂らされて、凧を安定させているとのこと。
本土の凧の足が2つ紙の帯で垂らされるのに対し、そこが違うとのこと。
なかでも八重山の凧は、紐が2本で一本は短く、一本は長く垂らされており、風に煽られても復元力を増すように、工夫されているという。
自由凧にもY字のタコ足が付けられて、しかも2本になっているものは、八重山の伝統凧の知識がある人の凧だとのこと。
この日揚がっている自由凧のほとんどに、Y字の足があり、しかも2本の紐が付けられていて、八重山の伝統凧の知識が、しっかり受け継がれていることがわかる光景となっていた。
様々な凧が揚がる中、インターネットでよくみられる『いいね』ボタンの凧が登場して、見る人を驚かせていた。
「どうして、あんな形で凧にできて、しかも空にあがるのか」
そういう声も聞かれる中、製作者の小禄直人さん(51)は、「この凧が揚がれば、凧自身が『いいね』とほめることになる凧です」と笑いながら楽しそう。
「実はほめる人がいないので、つくってみました。このそばに大きな凧を揚げる予定でしたが、会場が少し狭いようなので、今回はパスして、『いいね』だけを揚げました」と、凧揚げ大会への意気込みは高いものがある。このほかに、十二支の亥の文字だけの凧や紅白のチェック模様のピキダーと凝った凧も揚げていた小禄さん。
小学6年生の頃から凧あげが大好きで、毎年、年末が近づくと一か月かけて空いた時間に凧を製作。本業の一休食堂の12月繁忙期でも凧熱は衰えない小禄さんだ。
従業員にも掃除で竹ひごを見つけられて、「今年も凧作り、はじまりましたね」と密かにバレているとのこと。来年は3mクラスの凧を揚げたいと計画中とのこと。
12時頃には、子供たち向けに巨大シャクシメーからお菓子が空から撒かれるイベントも行われてた。風によってゆっくり揚がるシャクシメーを見ながら、子供たちは大空に両手を広げて、落ちてくるお菓子が降ってくる喜びに浸りながら、シャクシメーが吊るす箱を凝視。お菓子が降ると一目散に駆けだして、お菓子を拾っていた。
12時半からは大会の授賞式が行われ、ピキダーの部、八角の部、アヨーの部、シャクシメーの部、自由凧の部それぞれから最優秀賞、優秀賞、優良賞が授与されていた。
今回から賞状といっしょに贈られるものがトロフィーからメダルを埋め込んだ盾に変り、凧好きには金銀銅のメダルを思わせ、東京五輪を彷彿させる思い出深いものとなっていた。
結果は次の通り(敬称略)
<ピキダーの部> 最優秀賞:川満陽一、優秀賞:長濵慶潤、優良賞:黒島志穏
<八角の部> 最優秀賞:長濵慶潤、優秀賞:友寄美蘭、優良賞:大濵葵
<アヨーの部> 最優秀賞:金城桜花、優秀賞:登川桜彩、優良賞:吉本吉藝
<シャクシメーの部> 最優秀賞:山城考史
<自由凧の部> 最優秀賞:仲大嶺輝向、優秀賞:花城瑠乙、優良賞:大濵琶子
<教育長賞> ファミリー部門:砂川叶向、奨励部門:譜久盛市哉
<八重山凧愛好会賞> 多田浜会
なお多田浜会の保田盛秀克(60)は、
「今回、還暦祝いに集まった22名で祝賀会のほかに何かしようと凧づくりの提案で一気に決まりました。人生の締めの60歳で、またゼロ歳からスタートを記念する行事が還暦でもあり、大空に告示する意味でも、幼少を思い出す意味でも、また還暦祝いが正月2日だったのもあり、すぐ決まりました。今回、八重山凧愛好会賞を頂けて最高の思い出になりました」と、会の仲間とともに大いに喜んでいた。
(流杉一行)