昨年、海水温の高さから白化現象が進んで石垣島のサンゴ礁が危機的状態を迎えている。
今は、生き残ったサンゴが低温期に元気意なるべく、じっと少ない寒気のプランクトンを食べて、5月からはじまる産卵に備えている。
3月5日は、サンゴにとっては特別な季節ではなく、ただ語呂合わせに過ぎない。それでも、サンゴの保全を呼びかける契機は、こうしないかぎり難しい。
サンゴが自然に成育する場所は、赤道に近く、先進国の国民には、縁遠いものがある。しかも、発展途上国の自然環境は、悪い方に進むばかり。加えて温暖化か影響をもろに受けている。
温暖化で天候不順から、全世界で農産物への影響を与え、寒冷化、灼熱化そして台風、ハリケーン、サイクロンの異常な大型化と、災害が立て続けに起こって、海中のサンゴどころの話ではない。
しかし、八重山においては、身近な場所でサンゴが見られる、特異な自然環境から、そのサンゴのダメージは容易に分かるようになっている。
だが、それも石垣島まで国立公園となって、今まで以上に敷居の高さが生まれて、身近にあっても、足が遠退く傾向が生まれていないか。
写真と解説をたくさん並べても、サンゴの状況と、その深刻さを伝える気持ちが、伝わらない。
サンゴの聞きを身近に感じている職員ならではの、何かがあるでなく、ベタな解説で、これまで取り組まれたボランティアでの取り組みを、3月5日周辺に揃えても、それで国際年を意識させることに、どれだけ効果を持っているか。
世界各国のサンゴ礁の危機を意識する立場はどうしたのか。東アジア最大のサンゴ礁保全の拠点としての、国際サンゴ礁モニタリングセンターは、この程度の露出でいいのか。
石西礁湖の自然再生事業は、海に接する人がそのために、連携を取る話。地元の一般市民の参加は増えているのか。
研究者の研究材料集めのために止まっていないか。サンゴの移植は失敗続きなのに、人の善意を宣伝につかっていないか。
一般市民に海の恩恵と大切さが広まれば、日頃使う洗剤への配慮。大型観光施設の洗剤の扱い。
観光施設が昔のまま排水を海に川に捨てていないか。
知る人は知っている。一般市民の意識の変化が及ぼすものが、大きいことを、考えるべし。大人への理解より子どもへの教育で済ませていいのか。
昨今の、規格化して、ブランド化して、わかりやすくという傾向は、問題点を不鮮明に抽象化して、知っているがよく知らないままでいいという、暗黙の了解を増やす傾向に堕している。
海の濁りも、漠然とした不安からゼロか一のどっちかに決めて、事態を鮮明に捕らえない傾向こそ、意識の濁りそのものではないか。
人の頭の中も白化現象とならないことを祈りたい。
3月2日3日にリーフチェックが実施されるほか、海LOVEビーチクリーンが3月4日に行われる。また同日、崎枝公民館および周辺地区で、畑と海をつなぐサンゴまつりが実施される。
(下は、昨年に開催された畑と海をつなぐサンゴまつりのひまわりの種まきシーン)
石垣港離島ターミナルではサンゴの展示コーナーが3月11日まで設置される。
さてサンゴの語源は、正倉院の宝物からのもので、シルクロードにのって運ばれてきた宝物の装飾がスタート。
中国語も「珊瑚」と書いて発音はちょっと違うが「サンゴ」に似た呼び方。
沖縄には「ウル」と呼ばれる言葉がサンゴに当てられているのだが、本土には振りむきもされない。
(流杉一行)