12月27日、慌ただしさがピークに向かう年末。
石垣市公設市場の静寂と、真栄里から南大浜のスーパー街(サンエー、MAXバリューやいま店周辺店舗、メイクマン、靴流通センターなど)の隆盛に、動き出す石垣島の象徴が描かれている。
来年は市長選、知事選、そして自衛隊の問題、加えて北朝鮮にアメリカ大統領の暴走ぶりと、混迷が深まるばかりの2018年。果たして、いかなる年となるか。
変化しても、変わらぬものを追い求める気概は、なくしたくない。
そう、市役所が移っても四ヵ字は、歴史ある街であり、浮薄なものを寄せ付けない確たる空気を漂わせれば、魅力は後世続く。
消費社会の活気だけが、人の気を引くわけではない。
公設市場を愛し、その市場に足を運ぶ人の眼差しこそ、貴重で確かな何かにつながる気がする。
年末の多忙の中で、安いもの、手早いもの、難儀しないものに流れる風潮は、否めないが、それでも譲れないものがあってこそ、個々人の存在理由が実感できるというものではないか。
石垣市の首長を決める選挙が、2018年にある。大きな分岐点を前に、この年末3日間と正月3が日は、市民の気持ちに何が芽生えるか。
個々人が、よい形で新たな未来を迎えるためにも、大事な年末年始であるはず。
12月27日午後1時頃、公設市場やユーグレナモールを歩けば、人の通りは年末の「ね」の時も感じさせない。
公設市場内には、注文に追われる店もあるのだが、客足はいつもの平日のまま。公設市場のユーグレナ通り沿いで品物を並べて商売する85歳のオバーさんは、写真が嫌い。
道行く人はシークァーサーやジーマミードウーフなどを買っていく。子どもがパインに触れようとすると、すかさず「コレ」と声をあげる。
公設市場が新築され、悪評高い低い一階のため、かん水被害を出した建物は、これで30年目。
ゆいロードでは、雨水管の埋設工事の最中で、丁度埋め込みを終え、舗装にとりかかろうとしている。遅い対応だ。
85歳の厳しいその人は、隣で仕事をしていた人は惚けてしまったとつぶやいた。
「ここはもはや昔のような市場ではない」という声が、漏れていたのは、年末の活気に期待する人さえなくなったからか。
公設市場の失敗は、本土の設計で建てたせい。今ある観光ブームも、本土からの業者や観光客にまかせている。緑は伐採され、それできれいになったと、いうのだろうか。殺伐としてくる街の風景に、耐えられるか。
雨水によるかん水に苦悩するのは、新たな振興エリアも同じで、旧空港の滑走路の水が押し寄せてくる場所でもある。今、繁盛しても、旧空港に押し寄せる店の林立が、何を産むか。よりいっそう、かん水環境を悪化させれば、また大かん水地帯になってしまおう。
漠然と、島にとって何がいいかを、じっくり考える時期にさしかかている。
(流杉一行)