12月5日から17日まで、石垣市立図書館で、琉球大学資料にみる「八重山の自然とくらし」展が開催される。
これは琉球大学附属図書館と琉球大学博物館の2つの施設が合同の企画展を平成26年度から実施しているもので、沖縄本島、久米島、宮古島、奄美大島で実施してきて、今回、石垣市との共催で石垣市制施行70周年記念の企画展として石垣島で実施するもの。
そのオープニングセレモニーが5日午前10時から行われ、琉球大学附属図書館情報サービス課長の岡田高志氏の司会ではじまり、琉球大学代表の挨拶がおこなわれた。
この日、琉球大学附属図書館長の仲座栄三氏は所用で欠席のため、山本和雄事務長が館長の挨拶を代読した。
「博物館からは、世界ではじめてその存在を知らしめるきっかけとなったイリオモテヤマネコの標本や、収集されてきたワラ算の資料。図書館からは宮良殿地の古文書類が、戦後精力的な調査をしたジョンHカーの写真を展示するなどしております。宮良殿地文庫の資料は、平成23年に一度展示会がこの地で開催されており、今回で2度目となります。琉球大学の資料に親しんで頂き、地域を見直すきっかけになって頂ければ、幸いです」と代読していた。
テープカットの後、琉球大学博物館学芸員佐々木健志氏と琉球大学附属図書館沖縄資料担当の冨田千夏氏が展示資料の説明を実施。
佐々木氏は、イリオモテヤマネコの標本や絶滅寸前にあるイシガキニイニイや、絶滅危惧種の標本、わら算、サンなどを説明。
また、海馬と表記されたジュゴンの骨や、八重山博物館所蔵のジュゴンの燻製などを紹介すると、市長や教育長は身を乗り出して熱心に聞いていた。
冨田氏は、ジュゴンにまつわる古文書「万書付集(よろずかきつけしゅう)」の一文を紹介。新城村からジュゴンの捕獲が難しく、税の換算を引き上げてくれという要請への対処法が記されていたという。
また、中国からやってくる冊封使がジュゴンのことを記録し、それが本土に伝わり、江戸の薬学師が「首は馬のようなもの、魚のような身をしている。うろこはなく、肉は豚のようである。獲るのは難しく、王に献上するものである」と記している書物を説明。「海馬」とジュゴンが表記されたためか、絵図がタツノオトシゴになっているのを冨田氏は紹介していた。
今回の「自然とくらし」の切り口は、八重山の自然に生きる生物と、士族の暮らしを古文書から考察する観点で、並立の意味と見るのが、正しいかも。一般に「自然とくらし」という場合、自然の中でどう暮らしを立てていたかという、動態的な庶民の暮らしを想像してしまうが、そこではない模様。
セレモニーの後は、続々来訪者が来て、熱心に資料を見ていた。
(流杉一行)