石垣市民会館30周年で創作舞踊の舞台展開

 2月26日、石垣市民会館30周年を記念して創作八重山舞踊が同会館大ホールで公演され、800人を超す舞踊愛好家が集結して、きらびやかな舞台の数々を堪能した。

 15の舞踊研究所が創作の舞台を演出。独創性溢れる発想で、地域の持つ特性を生かした演目を考案。見事な舞台に仕上げて、見る人を魅了した。

 舞台のごと、創作の意図が語られ、想いの内容が告げられることで、観衆は真剣に舞台から感じられるものを読み解いていた。

 八重山の芸能は、神前の奉納が軸となる芸能という位置づけから、あまり舞台への力の投入はされてこなかった傾向にある。いわば、観客の目を意識した体の動きと唄と演奏。そこを行きすぎると俗物的で光り輝き、色も濃厚で、気品や精神性が、太い筆で塗り消されて、繊細さが消え失せていく。そういう危惧は、この創作の舞台にはなく、むしろ新たな領域を広げる、現代人が読み解ける舞台になっていて、見応えあるものになっていた。

 会のシンボルの舞踊、子孫繁盛をテーマにしたもの、ジュゴンの餌のウミショウブをテーマにしたもの、若い男女の恋愛をテーマにしたもの、公民館の落成記念の曲、新たなデンサー節、小学生の詩から生まれた曲と舞、白砂を撒く行事から生まれた曲、「ゆばなうれ」をテーマにしたもの、明和の大津波で起こった別れの悲しみを唄った曲、安良村の再現の曲、踊れる喜びの曲、米寿を迎える喜びの曲、大本山の曲と、多彩で内容の濃い舞台が続いた。

(流杉一行)

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