1月24日午前9時半頃、パナマ船籍の貨物船「シンハイズー2」(8461トン)が石垣海上保安部へ救難を求めて、石垣航空基地のヘリが出動。13時頃、中国人乗組員19人を空中から釣り上げて救い出した。
小浜島と竹富島がつながるリーフの浅瀬で小浜島寄りの通称ラムサの石と呼ばれる巨石が見える場所の近く。電灯潜りの漁師が夜間に漁をする場所でもあり、漁業者には大事なポイントでもある。
海上は風速21・7mの強風が吹き、大荒れで船が強風でコントロールを失い、サンゴ礁に激突。座礁した模様。
平時でも石垣港に近づく場合、詳細な海図をもたなければ、座礁する危険性が高い。海外から経験のない船が近づく場合は、まず座礁することを念頭に慎重な操舵が必要なはず。そこにこの荒天では、危険度は相当高くなる。
かつて、2002年頃は、年間3000隻のクリアランス船が石垣港に入港。中国と台湾間をたくさんの船が行き来した。それで座礁事故が多発して、大問題になったことがあった。また、かつて外国船籍タンカーが起こした鳩間島近海での座礁事故は、八重山海域が油まみれになる危険性を知らしめた大事故だった。幸運にも空だったために、ならなかったが、今回の貨物船の燃料が漏れれば、海洋汚染は免れなく起こってくる。
漏れてしまえば、魚への影響に加え、取れた魚に関しての風評被害、近くにあるモズク養殖への影響など漁業者への損害は大きく、これへの保障がこの船会社に可能なのか。またしても、荒天で簡単に水産関係および八重山経済のリスクが高まることに、恐れなければならない事態だ。
石垣港へ往来する船への影響が出れば、物資不足が発生し、八重山経済への影響は、船舶保障とは別次元だ。海域の環境汚染も、オイルボールの発生や、漏れたオイル対策での中和剤の投入は、それ自身でまた環境の悪影響が懸念される。
石垣港のそばでの座礁事故は、単なる座礁事故ではなく、那覇から400キロ離れた八重山経済にダメージを与える可能性がある重要な事故であり、昔のように八重山支庁のような県庁の部長クラスの出先もない。自衛隊のミサイル基地の前にやることは、たくさんある。
この日、冨崎灯台近くの高台にひとりの漁業者が来て、座礁船の状況を見に来ていた。豊かな漁場が危険で心配だという。
今はクリアランス船の時代は去っている。船乗りが気象を読むのが仕事なはず。悪天候を理由に避難のために入る場所は、石垣港であってはならないはずなのだが、どうなっているのか。
(流杉一行)