昨今、南海トラフや首都圏直下型といった大地震の発生が、近年早い時期に起ることが話題になっている。また、明和の大津波クラスの災害も、250年周期とされ、丁度そのタイミングに八重山は晒されているのも忘れるわけにはいかない。
本土でも、南海トラフや首都圏直下型に備えるように、対象地域では様々に広報されている。八重山には、東日本大震災で実際に物資の流通が途絶えて、お店の空いた棚が増えたことが、記憶にある。
南海トラフも首都圏直下も、本土での混乱を想定すると、即物流が途絶えることを覚悟しなければならず、そうなったときは、行政の備蓄だけでなく、一般家庭での備蓄は大切となる。
石垣市防災危機管理課が、7月13日から15日の3日間、午前10時から午後2時まで石垣市役所市民広場で一般家庭における防災備蓄推進キャンペーンを実施している。
7月13日には先着100名へ、アルファ米(炊きあがったご飯から旨味を保って水分だけを抜いた米で防災備蓄用:長期保存用に乾燥をきつくして、微生物の繁殖や腐敗を避ける米)でできた五目御飯が配られて、集まった人は会場に設置された保存食を見ながら、担当職員らの話を聞いていた。
この日、長年防災管理に関わって来た大浜武担当者は、ローリングストックについて、訪れた市民へ説明していた。
日常生活で普段から少し多めに食材や加工品を約一週間分のストックをして、日常でストックした備蓄のものを使いながら、使った分だけ買い足すことがローリングストック。
会場では、長期保存ができる備蓄用食糧を並べて、どんなものがあるかも紹介。それを各人が活用することで、備蓄食糧にも慣れておくことができるというもの。ご飯やカレー、中華丼、リゾット、水、パンや黒糖、クラッカー、ビスケットと様々な備蓄製品が並べられて、訪れた市民はひとつひとつ備蓄食糧の内容や重さなどを手に取って確認していた。
明日の無料配布の100食では、チキンライスがでるとのこと。
八重山は、毎年台風に見舞われていたのが、ここ数年、直撃がない状況が続いている。忘れてしまいがちだが、台風の直撃が兆すと、はやり防災に頭を切り替えるのが八重山郡民の常。なにしろ、60m級が何度も島を襲った年を経験すると、台風の威力の凄まじさは、頭に焼き付いて離れないもの。台風シーズンを控えてのこの時期だからこそのキャンペーンと大浜氏はいう。
地球温暖化の影響で、あれだけ頻繁に石垣島に来ていた台風が、沖縄本島へのいくことが増え、不思議な感じもあるが、以前に比べて大型台風とされるその規模も、異常に大きくなっており、接近ともなれば、実際、大きな被害が考えられる。
2006年に八重山を襲った大型台風13号は、電柱を数多くなぎ倒し、約一週間の停電に陥った場所もでた。沖縄本島から電柱を運ばなければ、復旧ができないからだ。給水車が水の配布をするなど、厳しい日々が続いた。
台風の場合は、八重山襲来の後に沖縄本島へ向かう場合が多く、その間の物資を運ぶ船は長く止まってしまう。そういう意味で八重山は、ローリングストックに馴れた人が増える必然性はある。日本最南端の八重山諸島ともなれば、自助努力も必須。災害を想定して、各家庭で様々にローリングストック術を編み出す価値は十分ある。
(流杉一行)