待ちに待ったパヤオでのカツオ漁の今季初始動です。
7月1日午前1時30分に出航し、8か所のパヤオを巡り、午後2時半に八重山漁協の荷揚げ所の岸壁に帰還した。
6月2日に出航を予定していた八重山唯一のカツオ船の第一源丸(上地肇船長)が、およそ一か月ぶりの出航を遂げ、今季初のパヤオ漁のカツオ船は、1・5トンの漁獲となった。
船長の上地肇さん(64)によると、カツオ漁の餌となる雑魚(ジャコ)が獲れないため、出漁が7月にずれ込んだとのこと。
昔はそんなこともあったと古い釣り師は言っていたとしながら、上地船長は「これまで25年間やってきてはじめてだ」と、船長自身はこれまで経験がないという。
現れない餌の雑魚はグルクンの稚魚のことで、これが毎年大潮で陸に寄ってくるはずが、今年はまだ来ておらず、6月2日以降、グルクンの稚魚を待つも結局来ないままに、代替の小さな魚を餌に出航。
餌が違うせいもあり、今回の獲物はシビマグロ(生育途上のマグロ)がほとんで、目的のカツオは200キロ程度。
それでも今期初となるカツオ漁は、新鮮なカツオが食べられるとあって、市内のマルゲン鮮魚店などに、カツオの旗が立ち、初カツオの賞味を求めて、買い物客が集まっていた。
この日、マルゲン水産真栄里店では、石垣市赤土等流出防止営農対策地域協議会が提供するベチベルによる藁焼きによるカツオの叩きがこの日も実演販売され、香ばしいカツオの香りが周囲に広がっていた。
パヤオでのカツオ漁は、例年3か月間、ハーリーも前後から15夜の時期まで実施されるが、今年は餌が揃わず、すでに一か月間出航できず、上地氏は「伸びるかもしれないが、餌が獲れないと厳しい」と、グルクンの稚魚が寄ってくるのを待つ態勢となっている。
明日も餌不足ながらも、出航を予定しているとのこと。グルクンの稚魚の寄りが叶えば、それを追って現れるのがカツオでもあり、大漁となるのが期待される。
この日、八重山漁協の職場体験で富野中学校の3年の比嘉海七斗(みなと)君がカツオの水揚に参加。「役になっているかどうか、わかりません」と、初々しく語る中学3年生は、カゴに乗せられたカツオを運ぶ作業を経験していた。八重山の魚は多彩でもあり、魚の呼び名が多いために、魚の名前を覚えることからたいへんだ。初のことが重なる八重山漁協の一日だった。
(流杉一行)