1月26日午前8時20分から石垣市立大本小学校に面した歩道で、大本小学校の生徒3人が車道を走る車に向けてボードを掲げて安全運転を訴えた。
これは、大本小学校の児童生徒が毎月実施する「野鳥を守るアピール活動」で、午前8時25分から40分までの15分間、走り去る車へ向けて、児童らが書いたメッセージボードを掲げて、スピードを落とすようアピールするもの。
石垣島には、国の特別天然記念物のカンムリワシが生息しており、昨今、交通事故などで保護される個体が増えていることが、毎年、話題になっていることから、その注意喚起も含めてのアピールでもある模様。
毎回、生徒5人で取り組んでいきたが、この日は2人が欠席で、3人での取り組みとなっていた。
出発式をしたあと、3人はメッセージボードを手に、同校前の公道へ向かい、歩道に待機。しばらく待つと遠くから車の近づく音が聞こえて、アピールの準備に入る生徒たち。
子どもたちは、走り去る車へメッセージボードを掲げつつ、手を振って運転手にスピードを落とすよう、一生懸命にアピールをしていた。
大本小学校近辺は、車の往来は、盛んではない分、車の走行スピードは上がりがちで、かなりなスピードで走り抜ける車も見られた。
また、子どもたちのアピールに気が付いたドライバーもいて、手を振ってこたえる様子も見られた。
子どもたちのメッセージボードを掲げる姿、あるいは手を振る姿に、気持ちが届いたのか、応えるドライバーがいるのは、継続してきた成果といえそうだ。
(この活動は、ロングの日とショートの日の2通りあり、ロングの日はアピールを実施し野鳥観察も4か所。ショートの日はアピールはなく、真栄里ダムと武那良田原の2か所の野鳥観察。ほぼ、一か月に1度のペースで取り組んでいる模様)
同校に戻った児童生徒は、そのまま1校時から4校時(8時50分から12時15分)を、総合的な学習時間「山の子タイム」として活動。授業は、石垣青少年の家の佐野清貴さんを講師に冬の野鳥観察を実施するもの。
さっそく、野鳥を観察するための双眼鏡や見つけた野鳥の種類や数を記録する野鳥観察用のシートを用意。野鳥図鑑や野外活動中に体調が悪くなった場合の備品などを用意してから、改めて出発式を実施。
晴天の野鳥観察日和の下、児童生徒と担任先生らが車に分乗して、市内4か所(真栄里ダム、武那良田原、新川の平田原、新川川河口)の野鳥観察ポイントへ出発した。
真栄里ダムでは、数多くのカワウや、カイツブリ、アオサギ、ムラサキサギ、チュウサギなど、水鳥が見られたほか、電柱にとまるチョウゲンボウも見られた。
「夏場などは、カラスしか見られない日もあったが、今日はいろんな野鳥が見られた」と喜ぶ先生の声もあがっていた。
梅田ももさん(小学3年)は「アオサギ、チュウサギ、カワウが見られてよかった。特に今日は、最後の野鳥観察なので、なかなか見られないムラサキサギが最後に見られてよかったです」と、観察会の成果を喜んでいた。
このあと、一行は武那良田原のポイントでは、カラスザンショウの木の実に集まるコムシクイやメジロ、ヒヨドリを観察したほか、水田地帯に飛び交うコチドリやキセキレイ、またキジバトやオサハシブトカガスを発見。
新川の新川川や平田原では、アオサギ、セイタカシギ、オカヨシガモ、スズメなどが多数観察できていた。
新川川河口では、ユリカモメも見られて充実の野鳥観察の日となっていた。
わずか2時間で、児童生徒にも簡単に、多彩な野鳥が観察できる石垣島は、豊かな自然が残る場所だからこそ。
講師の佐野清貴氏は、「子どもたちには、野鳥観察を通して、島の自然の大切さ、豊かさを考え、実感してほしいですね」と、述べていた。
大本小学校は、毎年2年生は「ハクセキレイ学級」、3・4年生は「カーラカンジュー(カワセミの意味)学級」5・6年生は「アカショウビン学級」と、児童が考えた学級の愛称を、野鳥の名前にしたり、各人で、好きな野鳥を決め、年間を通じてその野鳥観察に親しむなどして、活動しているという。
この活動が評価され、平成26年に環境省自然局賞を大本小学校は受賞している。また、全国野生生物保護実績大会で、日本鳥類保護連盟会長賞を受賞している。
なお、大本小学校が、長年、野鳥保護への取り組みを続けているのは、広く知られてもおり、2000年頃、クロハゲワシの幼鳥が飛来して保護された時には、元気になるまでゲージで、児童が見守りつつ世話をし、最後は無事グラウンドから放鳥したこともある。
(流杉一行)