3か月連続の有効求人倍率上昇 このコロナ禍で?

 昨年から続くコロナ禍の中、8月下旬で1日2万人以上の新規感染者を出す状況から、9月中旬から医療関係者が謎だという感染者数の突然の減少。コロナワクチン接種のペースに比べると破格の減少が、謎だという。

 このまま経済の復興をこの間遂げたい日本全体だが、ここ3か月、石垣島には不思議な現象が起こっている。

 まず、この日のハローワークの会見を紹介する。

 10月1日午後1時半から国の合同庁舎2階会議室で、厚生労働省沖縄労働局が定番のハローワーク八重山発表を実施。

 この日は令和3年8月の雇用の動きを八重山公共職業安定所の真壁朝文所長と統括職業指導官の大城実担当が令和3年8月の雇用状況を報告した。

 月間有効求職者数は1087人で前月比6・9%(70人)増加となった。仕事を求める人が昨年の8月に比べると70人増えたことが発表された。

 いわば、失業者の増加傾向を意味する。コロナ禍ゆえ売り上げの低迷を余儀なくされる事業所へ、雇用助成金で従業員の雇用維持を図り。零細企業はギリギリの状態の中、深刻さは事業所により違う。廃業を決める事業所は、出てきても不思議はない。

 そんな厳しさが進む島で、事業所側の出す求人が増えていることが、この日の発表にあった。

 人を雇いたいとする事業所が出す求人数は、8月は1024人で前年同月比42%(303人)の増加となった。有効求人倍率は0,94倍で前年同月比0.23%ポイント上昇。

 正社員有効求人倍率は0・53倍で前年同月比0・13ポイント上昇。

 新規の求職申込数は267人で、前年同月比26・5%と56人も増加している。

  表で見る通り、この日、八重山だけが3か月連続での有効求人倍率が上昇したことが発表されていた。(しかも宿泊業での増加が目立つという。)

 8月の発表であれば、5月から、6月、7月、8月と、3か月連続して有効求人倍数が増加している。全国では5月から6月、7月と増加したが、ここ8月で落ちている。沖縄では5月から6月は上がったが、7月、8月と落ち込む落差は大きい。

 求人数が減るということは、雇えるところが少ないということ。

 5月はGWの影響から感染者がじわじわ増えてきていた。オリンピックが始まることで、無観客でも多少熱を帯びる業種があってもおかしくない。いくらか求人数が上向いて、8月のオリンピック終了とともに、雇用が下がるのは、わからないでない。

 そこに、八重山だけが7月から8月で伸びているのは、何か。

 思い出されることがある。2001年の9・11。世界でテロが危ぶまれ、海外旅行が落ち込んだ。あの時、観光が冷え込んだ中、八重山観光が活性。それほど観光地として有名ではなかった中、多くの人が来島。そのうねりが2002年からの移住ブームをつくった。

 海外旅行ができない層が八重山観光に目がいく。それを見越して、参入を図る業者が出てきていることかもしれない。自ら独立して起業する講座が都市部では活性しているとすれば、どこでブームが起こるかと、これまで生まれたブームを検証。次に何が起こってくるかを、熟考していておかしくない。

 緊急事態宣言で廃業を決め、去る事業所が増える一方で、空いた不動産物件がすぐに埋まっているという話も舞い込んでいる。いわば、家賃だけ払い続けながらでも、石垣島で開業を将来模索する人々が、集まってきているという。

 それは、それで本人らの責任で取り組む、一種の賭けではある。ただ、地元が金銭につられて石垣島の土地を手放す人が増えると、島の雰囲気に影響がおこらないか。これまで島が受け継いだものが、次第に薄れていかないか。心配は募る。

 世界自然遺産に登録された西表島は、世界から観光客を寄せる形になる。手放された土地が、海外の人に渡ってしまうなら、国境の島はどうなるのか。

 考えすぎかもしれないが、求人増加が不気味に感じるのは、記者だけか。


 
 (流杉一行)
 
 求人が増える現象は、外部からの資本算入や移住者による事業ばかりとは限らない。

 ウイズコロナの時代を見据えて、事業形態を変える取り組みがはじまっているケースもある。それであれば吉報のように思えるが、その動きが多数出るほど、コロナ禍はやさしくない。

 しかし、島のホテルの宿泊者数は、そう増えているようには思えない。

 また一点謎があるのが昨年の入域観光者数。63万人いたという数値がある。これは、2013年の新空港ができる前の入域客数と同じとなる。

 しかも、2013年はクルーズ船が往来していた数値である。いわば、昨年は落ち込んだ街の空気とは真逆の場所があったことになる。しかし、その様子を島人は見ていない。不要不急の外出を控えていれば当然かもしれない。

 求人倍率が高まる理由は、昨年の謎の観光客への対応ができているところと関係はないか。

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