28日オープン 助け合いの精神で生まれた石垣島クッキーの店

 八重山郵便局向かえのさだとしビル1階で8月28日にオープンするのは、「石垣島クッキー」。東京の会社で、八重山で人と人が寄り添うカフェを目指すという。

 会社の名前はMantaFrog GateWay合同会社。代表取締役の橘田真さん(59)と執行役員の崎山秀美さん(53)の二人が、石垣島で起業したいとスタートさせる店。

 注目なのは、八重山・石垣で新たなスイーツ文化を創造しながらアーティストとソーティアン(支援者)と協働し観光市場で求められる人材の育成を実現したいとの事業理念。SDGsの目標に沿って地域に貢献する店づくりを目指すという。

 観光客へ島の福祉作業所の障がい者が協働で製造にかかわるクッキーを提供するもの。島の福祉作業所で働く意欲もつ人を支援したいと、立ち上げるもの。

 代表の橘田さん自身も心臓を患う障がい者。元は小平市の市職員で秘書課広報係時代に障がい者に広報誌の配達を依頼して、働く意欲にあふれる障がい者を見て、その意義と可能性を実感。それぞれ障がい者がもつそれぞれ違う能力を、生かし補い合うことで、充分就業が可能となる現場を知ったという。互いに助け合うことで成立する起業を模索したいとはじまった。

 かくして、自身が好きな石垣島で福祉施設との協働で製造するクッキーの店をスタートさせる。

 クッキーづくりは、障がい者施設「ゆにばいしがき」ですでにスタート。

 レシピは、新高輪プリンスホテルやパークハイアット東京、浦和ロイヤルパインズホテルなどで腕を振るった朝田晋平シェフ(今は浦和で菓子店開業)が特注で制作。世界的な菓子のコンペで日本代表として出場し、準優勝などの高成績に輝くなどしている朝田シェフが、石垣島に足を運び、「ゆにばいしがき」の障がい者に、個々人の障がいの特性が生かされる製造方法を工夫しながら、菓子づくりをレクチャー。

 つくられるクッキーは、石垣島産のバニラ、ピパーチなどが入って、特産品に仕上がっている。

 SDGsに沿った店づくりから、内装もシンプル。まだ、用意されていないが談笑ができる座席を将来は用意してカフェにするとも。棚には、月桃製のカゴが展示され、贈答用にもなる天然素材の手作りカゴ。障がい者就労継続支援A型事業所の株式会社オハナのオハナ石垣で制作されている。

 橘田さん自身は昨年12月に市役所を退職したばかり。事業の経験はない。世の中に乞われる事業の起業化で、新しいSDGs時代への挑戦の店でもある。企業といえば利潤追求型だった時代から、社会貢献を目指す起業の時代となりつつある。コロナ禍で8月7日のオープンが延びて28日になった。石垣島で新時代への挑戦となる。

(流杉一行)

 店では、パナソニックとアサヒビールが制作販売するビアタンブラー(1000円)も販売されている。間伐材でつくられた一見プラスチックに見えるコップだが、実は紙原料なので燃やすごみとして処理できる。どうやらイベント会場などで使われるプラスチックのポイ捨てコップが、これに変れば家でも使えて、捨てる場合は燃やすごみとなることで、アサヒビールとパナソニックが開発。新たなこの店で、石垣島ビアタンブラーと名付けて売れることになったと、橘田さんはいう。

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