3月31日、石垣市教育委員会に「沖縄さかな図鑑」(沖縄タイムス社発行)90冊が寄贈された。
これは、20年以上に渡って沖縄の魚類の研究をしてきた水産研究・教育機構水産資源研究所の下瀬環(しもせ たまき)氏が、水産資源の観点で仕上げたこの図鑑を、石垣市の教育機関へ活用してもらおうと贈った物。(2021年3月28日発行:沖縄タイムス社発行所)
2010年6月から10年間、八重山漁協で水揚げ調査、セリ市場調査、観察、聞き取りを実施して、水産資源が揚がる現場からの生の情報満載の側面がある、一風変わった、これまでに見ない図鑑。
寄贈された本を一読した石垣安志教育長は、
「珍しい魚が載る図鑑はよくあるが、この図鑑は石垣市では身近な魚の図鑑で、魚の方言名から正式名称、また捕獲される時期から詳しくある本です。釣り好きな子ども達には、釣れた魚の種類や調べることができます。」
と、人気の図鑑になることを示唆。
「私は後輩教員らへ、常々地域との交流を大切にすることを言ってきました。その際、釣りなどの余暇でも、地域との交流のきっかけになる。沖縄では教員の離島への配属などは、なお地域との接点は大切です。教員が子ども達や地域の人々と釣りを通じた関係ができていくのは期待したい」と、教育への活用度の潜在力を、感心しながら述べていた。
「魚だけでなく、浜下りで捕れる貝の種類から、アーサ、モズク、ウミブドウも紹介され、沖縄でとれる水産物が細かに紹介されている」と述べ、「漁業者の漁の方法など、実際の漁業者から聞き取った話だけに、教育的な意味では内容が濃く、大人も水産関係を学ぶのには重要な史料になる」と、寄贈されたことを喜んでいた。
「釣りの方法にも詳しく触れており、私も離島赴任時代には釣りを通じて地域との絆ができていく経験をしました。この本には、釣り竿に仕掛ける餌の種類も推測できる、季節も分かる、釣り好きにはうれしいものになっています。」と、教育長自身、昔を思い出すことにもなった模様。
石垣市教育委員会へ郵送されてきた段ボールの中には、この図鑑の著者である下瀬環(たまき)氏がリストアップした市内の小中学校、高校、特別支援学校の名前が書かれたメモがあり、氏の子ども達への思いが感じられる。このほか、市立図書館など教育関係への寄贈先リストもあり、この図鑑が八重山漁協を舞台に漁業者からの支援でなった部分が大きいだけに、地域貢献に役立てたいという、研究者の思いが伝わってくる。
図鑑のあとがきには、協力者のリストもあり、そこには八重山の漁業者の名前が列挙されている。まず、珍しい図鑑であることは間違いない。
まもなく4月14日のサニズが来る。教育機関を通じて、関心も高まりそう。
なお、この図鑑は1800円+消費税。石垣島の書店にはまだ到着しておらず、山田書店に尋ねると3日から4日かかるとのこと。(4月9日から10日頃になる模様)
(流杉一行)
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