8月31日は旧盆明けのイタシキバラの日、迷っている邪霊を獅子舞で後生(あの世)に返す行事とされ、旧盆疲れを癒す日ともされている。
八重山では4年ぶりの制限なしで、各地のイタシキバラ行事が催されている。中には、帰郷者、観光客らの大勢の入場者に対応するために、車での会場接近を止める集落も出て、賑わいの過剰さも気になるところ。
四か字の登野城では、例年新城家の敷地で実施されていたイタシキバラが、今年から登野城公民館の前庭で実施されることになり、大勢の字民が会場に集まって、これまでにない賑わいを見せていた。
登野城では、275年ぶりと称する獅子舞の獅子頭が新調され、この日初の行事でのお披露目となって、字民も新調された獅子頭に注目していた。
午後7時に行われた獅子起こしの儀式の後、2体の獅子が登場。ピカピカ光る新調された獅子は、激しく舞いながら、迫力溢れる動きをして、子どもたちを恐れさせていた。
獅子に子どもを噛ませると、健康に育つといわれており、幼子をもつ親たちは、獅子が近づくと、獅子に子供を噛んでもらおうと、しきりに差し出していた。大泣きする子供もあり、その元気な様子を見つめる周囲は、無事すくすく育ってほしい親心を感じながら、ほほえましく見守っていた。
獅子舞が終わると、獅子の毛であるフクダが落ちていないか探す子供らが、しきりに会場の広場で、フクダを拾う光景があり、獅子舞で残ったフクダは縁起がいいと、聞かされているのがよくわかる。
怖いもの見たさで子どもたちが大勢集まっていたが、最後はフクダ拾いに熱を入れ、地域の行事の持つ一体感が、垣間見られた瞬間でもあった。
(流杉一行)