ウナタニンゲーが白保で

 2月7日午前11時から石垣市白保の嘉手刈の畑にある牛の御嶽(ウシィヌオン)でウナタニンゲーが行われた。これは白保地区に残る牛馬の健康を祈願する伝統行事で、かつて白保には何箇所かに牛の御嶽があり、人の足として、あるいは大勢が集まるときの蛋白源として生活に密着する牛馬は大切な存在で、多くの農家がグループで健康を祈願する行事を実施していた。今は、かつて牛馬をつないでおく場所として知られるウナタにある牛の御嶽で牛馬の健康祈願がおこなわれており、この日、二十数人が集い、祈願をした。

 2体の獅子頭を置いてお清めされた石積みで囲まれた牛の御嶽で、まず今年昨年の牛馬の健康を感謝する祈願からはじまり、メザシ、塩、米、神酒が供えられた4つの香炉で祈りがあり、その次には同様にこれから一年の牛馬の健康を願う拝みが実施され、参加者は回された供物を頂くなどして、自分たちの飼う牛馬の健康を祈願していた。

 一通り祈願が終わると、車座になってお茶を飲みながら小さな宴が設けられ、古くから牛飼いとして縁ある参加者らは談笑しながら親睦を温めていた。
 
 ウナタニンゲーの儀式は、白保公民館が牛の御嶽といっしょに文化財として地域で登録している伝統行事で、この場所には白保文化財を示すプレートも設置されている。約20年前に復活して以来、毎年実施されており、牛馬とともにあった暮らしを思い起こさせる珍しい行事で、今は畜産農家として育成する牛の健康を祈願する機会となっている。

 この日はじめて参加した宮良諒(21)さんは「我が家も祖先が牛飼いでした。そんな家が集まる伝統の行事で、参加できたことを誇りに感じます。地域の大切な伝統行事を、いずれ我々若い世代が引き継ぐことになるので、しっかり後世へ継承をしていきたい」と、笑顔で応えていた。

(流杉一行)

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