石垣島が台風12号の目に入る 出た直後は中心気圧は965hPAだった

 石垣島が午前10時頃に台風12号の目に入る。

 そして、目から出た後は中心気圧は965hPAだった。

 沖縄電力発表停電戸数は、9時22分現在、石垣島では1240戸、竹富町760戸。
 17時41分現在では、石垣島では1480戸、竹富町740戸。
 13日3時18分現在では、石垣島では5380戸、竹富町1640戸。

 石垣島では午前9時53分頃から台風の目に入った模様で、強風がやみ。車道に全く車がない光景が広がったが、しばらくして車が走り出した。まだ60m級の台風が真上にある。不思議な光景は、台風の目ならでは。
 ゆっくり移動する台風ゆえに、この台風の目もしばらく居座る可能性がある。当初、12日11時頃が最接近とみていたが、そこが中心の通過とすれば、12時にはまた暴風に見舞われることに。(実際は13時頃から)

 9時34分現在で台風の目に近い状況にあるということは、中心気圧が計測できるということ。いわば台風の中心気圧の実測値が今出せることとなる。現在、969hPAで、これまでの950hPAの値は、誤差19を抱えてのこと。最大風速、瞬間最大風速も変わってくる模様。40mクラスの台風に格下げの可能性も出てくる。

 20年以上前の方が正確な中心気圧の予測値を出せたように思うが、どうなのだろう。70m以上の風速計が八重山に届いてから、どこか石垣島地方気象台が、軽視されているように感じている。気象台は計測機器の向上で、計器に依存していないか。なんでもかんでも計器計測を石垣島でやって、沖縄本島に送って、沖縄本島ではその数値を見て、沖縄本島で判断する形を取り出した時期があった。今は、石垣島地方気象台でも対応しているが、以前のノウハウが死んでいないか。
 1990年代は、沖縄本島に台風がいくことはほとんどなかった。いっても、八重山にすればそよ風台風。

 最近ずっと、中心気圧の予測値が、実際と違うように感じることが、たびたびあった。
 今回、久方ぶりに、台風の目を見たことで、予報の気圧の値と実測値と見比べることができて、納得がいけたように思う。

 969hPAは結局、965hPAになっても、950hPAにはならなかった。

<台風の目が来る前>
 9月12日午前8時頃、台風12号は、石垣島の南60キロに迫る。台風は中心気圧950ヘクトパスカルで、ほぼ通常のサイズ。気象台発表の最大風速は秒速45m、瞬間最大風速は秒速60m。これが気象台の発表。

 台風との距離は60キロあり、気象台によると、瞬間最大風速は登野城での観測で東北東38・9m。最大風速は24.5mと、まだ落ち着いている。

 ほぼ真南から島に接近することで、左巻きの風ゆえに、最初は東風の強風が出ていることになる。

 ただ予測される瞬間最大風速60mは南西の風。台風の西側ではこの方位の風は発生しないことになるが、東側は危ない。ただ、目に入って過ぎれば、その間は助かることに。

 暴風域は中心から半径130キロで、前回11号(半径95キロ)の時よりも大きい。ただ、11号の時は暴風域に入らず、23mほどの風しか市街地には吹かなかったが、12号は台風の風音がしっかりでている。これから厳しくなるのは間違いない。

 11号では973hPAまで気圧は落ちたが、12号では8時30分時点で978hPAで、台風の目入りは午後11時頃から13時頃と思われ、順次気圧は落ちるはず。

 今回の台風の困ったところは、石垣島の東側を行くのか、西側をいくのか。これは、強い風が北風か南風かと、真逆の強風にさらされることになる。

 瞬間最大風速60mがどっちの方角から来るかが、大きな問題となるのだ。

 予報では西側。しかし向かっている台風の移動方向は、まっすぐたどれば東側。これは、車の止める場所・方向を誤ると、ひっくり返されしまうことになる。

 新品の石垣市役所では、早くから予報の通り東と南、南西の風を警戒する形で、役所の入口を車で防御していた。

 ただ、西風の返しには弱そうだ。

 今回、予報通りに西側を通ってくれたからよかったものの、東に行かれれば、北風の猛威となる。暴風域に入れば、車の移動は危険となる。真南から来る台風は、バシー海峡からくるものは、あっという間に去ってしまう。ところが、こうしてフィリピンの東方面からくる台風が、石垣島の南で北上するは停滞型が多い。石垣島で偏西風に当たるのか、ここで停滞してゆっくり通過する。この憎たらしい動きは1990年代に経験した停滞する台風を思い出させる。

 まもなく、台風の目が近い。風が弱まったと思っても、出歩くのは危険といえる。必ず暴風があっという間に始まるからだ。
 なお、字石垣で8時21分停電、23分復旧。

<台風の目が去って>
 午後1時から台風の目は北上して、ふたたび暴風域に戻った。
 午後3時の気象台発表のデータは、965ヘクトパスカルとなっており、実際瞬間最大風速は40mを観測。ここが最高値。台風の目を出た吹き返しの風がこれだ。
 
<最大瞬間風速は40m> 
 最大瞬間風速は竹富町西表島上原で15時5分西北西の風で秒速40mで、最大風速は15時1分で28・5m。
 石垣島での最高値は、登野城で15時59分に南西の風秒速39・2m、最大風速は15時51分で秒速25・7m。

 950hPAとされる台風ではないのは明らか。オオカミ少年ではなく、正確な観測方法を編み出してほしいもの。
 台風の目に入ってから3hPA上がっているが、いつ上がったかは、不明な模様。

 スマホで確認できた650hPAの発表の誤りは、現在の中心気圧を発表してもそれが実は予測値でしかない実態を知ることができた。この住民への注意喚起を高めるために、大きめに発表する傾向は、科学者がやることではない。政策的な配慮を考える気象官が養成されているということか。
 
 台風の恐ろしさを知る島民にしてみれば、発表値が瞬間最大風速60mで実際は40mだったという、この予報と実際の誤差は、少しづつ予報への不信が生まれていくのではないか。

 これまで大型台風時に、酷い目に遭ってきた八重山。島民が持つ大型台風への不安感は、過去の経験者だから皆真剣なもの。気象台がオオカミ少年となることは、後々おかしなことにならないか心配だ。視聴率狙いのTVに同調しているわけでもあるまいに。

 石垣島地方気象台には、台風最前線として、誇りを持って、より正確な台風情報をお願いしたい。
 本土の国民が、警戒を促すための、ダミーのような発表は、何が悪いか。よらしむべし知らしむべからずの風潮が、見えないところで、機能しているからではないか。そんなふうに中央が志向しそうな空気を勘ぐってしまう。とすれば、下手すぎるのにも、あきれてしまう。

 (なお、16時に登野城で瞬間風速40・1mを観測。所詮、最大風速30クラスの普通より下の台風だった。台風銀座時代からすれば、騒ぐ台風ではなかった。移住者が増えて、これぐらいでも騒ぐ必要があるのかも。60m吹かなくてよかったよかったということでした)

 経験上言えることがある。元来、風速30mで降雨があれば、手を外に出すと手が真っ赤になる。まず外には出られない。ところが、出られている今の風雨は、30mクラスではない。
 それを、瞬間風速60m級の台風が八重山に接近と、何度も連呼する。
 
 どう考えても、最近の報道はおかしい。いわば、20mクラスの風雨しかきていないのを、大げさに言い、本土の人への関心を引くために報道している。島では皆わかっているが、八重山の人は波風を立てない。そういうところを、黙って見ている。心配な話だ。皆で追従は、楽だからか。あるいは、未経験者だからしょうがないということか。

(流杉一行)

<余計な追加記述>

 なお、停電は23時39分現在で石垣市で4030戸、竹富町で1640戸と、吹き返しの西風で被害が拡大している。

 12日23時現在、石垣市登野城で瞬間最大風速が南西の風で秒速40・2m(20時56分)、最大風速は南西の風で秒速30・6m(21時1分)。竹富町上原で瞬間最大風速は西北西の風で秒速40.4m(20時15分)、最大風速は西の風で秒速28.9m(20時36分)。与那国町も暴風に入り、祖納で瞬間最大風速が北北西38.7m(20時33分)、最大風速が北北西の風で27・6m(20時35分)と、石垣市では30m級の返し風が吹いている。この状況では外には出られない。
  
<記者意見>
 30mクラスなら、市街地では風向きを見て、風が来ない側からは外へ出ることは可能だ。しかし台風とされる強烈な風の状況は、そこにはない。

 風の状況を見せるのは、確かに難しい。台風の本当の風は、郊外にあり、海にあり、山にある。

 各社は定点カメラで対処すべし。それでも出すなら報道各社のテレビクルーは、石垣島の北部や離島で取材すべし。そこに生の風がある。そして市街地にテープを運ぶ役割を、本土から来た自分たちクルーでやるべし。全国放送は、それぐらいの視聴率を稼いでいるはずだ。安く使って、安く済ませて、視聴者を騙すな。台風の目に入る可能性があれば、衛星へだって送信可能だ。携帯用送信機もあるはず。何でも試せる可能性を広げて、報道は力を持つはず。

 沿岸戦争でも、NHKが米軍戦車に乗っての報道が、もっとも戦場に近い取材という事態は、もはや世界にどう映るか。

 報道は世界各国命がけだ。美人かわいこちゃん、イケメンやさおとこの出る幕ではない。(日本はお笑いが命を張っている)

 市街地の風をさえぎる障害物がしっかりしている場所は、何を伝えているか。強い風は弱く伝わり、弱い風を強く強調することになる。

 日本の国民全体が台風の情報を、しっかりつかめる教育から大事かも。まず、子どもへの台風学習だ。

 インド洋・南半球のサイクロン、アメリカのハリケーンは、共通の大惨事を生む天災。そこで、台風に詳しい子供たちが、被災各国の子ども達と話す内容に、これが加われば、身近だけにつながりも生まれる。

 安全さを万全にして、日本は台風で鍛える国になっていたはずなのだが・・・。

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