八重山諸島の魂に魅了された気鋭の写真家がついにとらえた美しくも不思議な世界。
これまでの写真集にはみられない八重山の風土、そこに漂う魂を活写した珠玉の写真集。
生と死が濃密に混ざり合う中で、この世界の表面に見えているものより、
眼に見えない世界の方がどれくらい大きいのだろうと想う。
果ての島々において、世界の成り立ちがプリミティブであればあるほど、際立ってくるものがある。
普段意識することがないだけで、この世のいたる所に“向こう側”は口を開けている。
静まり返った水面に映る森、来訪神が振り蒔く豊穣の鱗粉、紙銭から立ち上る炎のゆらめき・・・
こちら側(この世)から、ぽっかり開いた窓の外には、向こう側(あの世)が広がる。
それに触れるたび、自分の心が透くような感覚が訪れる。
寂しいとも空しいとも違うその感覚、その根となるものを追い求めた。
赤外線モノクロームフイルムで眼には見えない世界に寄り添った、9年間の光跡。
オールモノクロ60ページ、上製本、大型本(外形263X263mm)、2014年7月17日刊行