カンムリワシの放鳥

 1月16日午前9時から石垣市名蔵の石垣やいま村で環境省石垣自然保護官事務所による国の特別天然記念物カンムリワシの放鳥がおこなわれた。

 この個体は、昨年12月28日、石垣市街地の浜崎緑地公園で衰弱して保護されたカンムリワシの幼鳥で、椙山泰幸さん(33)グループが保護する一週間前からその幼鳥を観察。いっしょに観察していたカンムリワシリサーチのメンバーが保護を決行。たまよせ動物病院へ搬送して治療後、1月5日に石垣やいま村のゲージに移動してリハビリを実施。体力が復活したことからこの日放鳥となった。

 保護当時の体重は450gで、この日は体重が800gまで回復。石垣やいま村の担当者の譜久山恵さんの手で、カンムリワシは放鳥された。

 近くのカラスに追われながらも、大きな松の下で周囲の様子を見ながら、芭蕉の茂みの先に飛び立っていった。

 椙山さんは「いっしょにいた第一発見者の方が、保護したのですが。その人に放鳥の様子を撮影してほしいと言われて今回きました。いっしょに緑地公園でカンムリワシが弱っていく様子を見ていたので、心配でした」と、元気よく飛び立った姿を確認し、安心した様子で話していた。

 この日、椙山さんがカンムリワシの命名を実施。わし座の一等星アルタイルから「アルタ」と名付けていた。このアルタにはKの文字が入れられた赤い足輪がつけられている。

 藤田和也上席自然保護官によると、昨年のカンムリワシの保護件数13件の内の9件が交通事故で、その内の8件が死亡。1件しか放鳥されていないとのこと。昨年の交通事故で保護された個体のほとんどが回復できない大きな損傷を受けており、事故の苛烈さが際立っているとのこと。

「交通事故が減るように、ドライバーには車の運転時は、カンムリワシには十分気をつけてほしいと思います」と藤田氏は述べていた。

(流杉一行)

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