八商工高で離島にこだわる「小型焼却炉」開発秘話

 9月12日午前11時15分から県立八重山商工高校D棟3階機械総合実習室で、電気コースの1年から3年生全員と機械コースの1年生と2年生の約80人が参加して、うるま市に本社があるトマス技術研究所の所長で、小型焼却炉チリメーサーを開発した福富建仁さんによる講話が実施された。福富さんは、環境省地球温暖化防止活動における技術開発製品化部門の環境大臣賞を受賞したほか、九州地方発明表彰で発明奨励賞や沖縄発明くふう展で県知事最優秀賞を受賞している。

 今回の講話は、八重山商工高校の先生の要望で成ったもので、生徒らに福富さんのものづくりに取り組む姿勢を学ぶとともに、環境問題・エネルギー問題・知的財産についての理解を深め、ものづくりを通して課題解決の方法を学ぶ目的で実施された。

 福富さんは、チリメーサーの開発のきっかけから、その経緯を短い時間で動画を使って説明。生徒らは真剣に聞き入っていた。

 チリメーサーは、全国で問題になっている漂着ゴミを煙を出さずに焼却して、真っ白い灰にしてしまう小型焼却炉で、しかも一般家庭用の100v電流で動く優れもの。水蒸気を使って煙を出さない工夫がされており、内部構造は非公開。そこは特許で守られている。

 「ものをつくると必ず問題が発生します。そのとき、すぐに解決策を練るのでなく、まず原因を突き止めることからはじめて、その原因を究明することに力を注いでほしい。すぐに解決策を練るのは、その場をおさめるだけで、また問題は発生します。問題の発生源をつかんで、そこで本当の対策ができる。そこが大事です」と、福富さんはものづくりの大切な姿勢を述べていた。

 このほか、建設や機械の世界は、厳しい世界で、本土の大手企業に値段を叩かれたり、零細は厳しい目に合うが、そこは負けないという気持ちを大切にしてほしいと述べ、福富さん自身が、チリメーサーの開発で県内企業の技術者と連携して、開発に取り組んだことを披露。本土企業に負けない気持ちを大事にしたいと、ものづくりについて熱い気持ちを吐露していた。

 講話の後、2年生の西泊智尋くんは「自分たちも、授業でものづくりを学んでいます。福富さんの考え方を参考にして、自分たちも島にとって役に立つものをつくりたい。」と述べていた。

 郡内でもすでに7台のチリメーサーが稼働しており、与那国島、西表島、小浜島が各1台で石垣島が4件の計7台。

 奄美大島出身で、離島にこだわって、離島でつかえる必要なものとしてチリメーサーをつくったことが、大きいという福富さん。離島を大切に考えるエンジニアのものづくり秘話といえた。

(流杉一行)

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