趣味の釣り!

釣り人口のとっても多い八重山。
夕方の漁港付近には釣りをする人たちがたくさん。釣ることを楽しむ人、夕飯のおかずをとる人、仲間と競っている人。
そして、休みの日には、自分だけの秘密ポイントや船を出して釣りに出かけたり。名人と呼ばれる人や、島の釣り事情を紹介!

みんなが認める達人!波照間永美(えいび)さん

 島の釣人のあいだで、「名人」として名の通る波照間永美さん。毎年だいたい10月から4月まではイカ、4月から10月までは沖釣りをする。本土から来るプロの方も案内することもあるほど、その世界でも一目置かれた人だ。
 食べるのは魚よりイカが好きという波照間さん。イカ釣りは餌ではなくエギを使う。いつも車に竿とエギさえ入れておけば、仕事帰りでも、少しだけ時間のあいた時でもさっと行ける。波照間さんは「石垣島にいて、なんでイカ釣りやらないのって感じです(笑)」と話す。

 小学校低学年のころから、今のマンタ公園付近で釣りをして遊んでいたという波照間さん。農高を卒業し、本土で調理人の修行をしていた時も、休みの日は茨城県の霞ヶ浦などでよく釣りをしていた。
 32歳で島に戻り、帰ってきてすぐ居酒屋錦をオープンさせた。錦の店内には、大物を釣り上げた仲間たちの写真やエギが数え切れないほど飾られている。お客さんも釣り好きな人が来ることも多く、この日も地元の人たちが波照間さんと釣り談義に花を咲かせていた。 

大物用ルアーがずらりと並ぶ。 波照間さんが好きなイカの食べ方は炙りだそうだ。ただ、「初めての人はやはりまず刺身がおすすめ。新鮮なイカの味を味わって欲しい。2回目はイカスミ汁。それから、炙ったイカを食べてみて欲しい。」と熱く語る。
「私もそうだったんですが、1ヶ所自分で好きなポイントを決めて通うことがうまくなる近道だと思います。潮だったり、時間だったり、一定の場所をよくみて、いろいろ試してみることでだんだんわかってきて、釣れるようになると思いますよ。」と話す。「釣りは一生続けられる趣味です。これからも楽しんでやっていきたい」と笑顔だった。

エギング名人 新本当之さん

 小学生の頃から八島の漁港に通い、釣りに明け暮れていたという新本当之さん。「昔は、上等な餌は高かったので、メリケン粉に醤油を加えて団子状にしたものを使い、よくエーグァーを釣っていました。醤油の分量を変えたりと、味付けもいろいろ試しましたよ(笑)」と話す。
 毎週1回は船を出し、それ以外は、仕事後2~3時間、週4回は必ず釣りをしているという。最近ではエギングにはまっていて“イカ釣り・エギング中毒”だそうだ。「イカは年中釣れるけど、特に冬場は毎日のようにイカ釣りをしています。イカ釣りには月や潮が関係していて、多くの人が夕方から夜にかけて漁港などを中心に釣りをしていますが、僕は日中に行くことが多いです。必ず1、2杯は釣れますよ。6ヶ月のスパンでいうと、約400杯のイカを釣ります」。
 船を出すときは名蔵湾から出発し、石垣島一周や西表島付近など、新本さんの釣りポイントは幅広い。小ぶりの自家用船は万能で、様々な釣りに適しているそうだ。

悪天候にも関わらず、本日の収獲はアオリイカ大小合わせて6杯。  11月6日は、風が強く、海もしけていたので、磯でイカ釣りをした。崎枝の御神崎付近で、13時頃から2~3時間で5杯のイカを釣り上げた。向い風が強く、悪天候だったが満足のいく釣りだったという。「釣れにくいコンディションで、釣ったときの満足度は高いです。イカの触角がエギに触れた時の感触が最高。この瞬間に感じるのは『釣れた』ではなく『釣った!』なんです」。
 釣り上げたイカは刺身にしたり墨汁にして食べるという。イカ墨汁には、三枚肉など他のものは一切加えないほうがイカの本来の旨みが出るのだそうだ。そして知り合いから教わったおすすめの食べ方は焼イカ。「2時間ほど干して、炭火で焼くと甘みが増しておいしいです」。
 チーム新本と称して、8名の釣り好きメンバーでチームを結成している新本さん。これからもエギングに熱を注いでいくという。

釣り歴4年で県記録を持つ名人!下里 肇さん

 雑誌「釣り王国」の表紙を飾ったり、雑誌内に掲載されている漫画のキャラクターとなるほどの釣り名人として知られている下里さん。
釣り好きのメンバー10名で結成されたチーム「Feed man」の立ち上げ人でもある。結成したばかりの4年前はあまり釣れなかったことから、“餌を与える男達”という意味でチーム名を名付けたそうだ。
 今までたくさんの大物を釣り上げてきた下里さんは船釣りではなく、浜や磯、港から竿を投げている。「船で沖まで行かないと大物は釣れないと思われがちだけど、港や浜からでも大きなサイズは釣れるんですよ」と話す下里さん。県記録のムネアカクチビ(76センチ、7.1キロ)もサザンゲート先の埋立地から釣り上げた。

時間があったら釣りに行くという下里さん。Feed manに新しく入ったメンバーに釣りの技を教えたり、新しいポイントを探したりと日々、大物記録更新を狙っている。餌となるウムズナーも自分で採りに行くそうで、自宅には一匹づつきれいに冷凍されたウムズナーが保存してあった。食べてもおいしいウムズナーは大物を狙う際に欠かせないそうだ。
 釣りが大好きな下里さんだが、なんと生ものが苦手だそうだ。釣れた魚も、人にあげることが多いという。釣り上げる感触がたまらなく楽しいという。
 11月12日には、鳩間島まで遠征し本島からの釣り好きグループに八重山の釣りのポイントを紹介した。夕方18時頃から始め、朝方までねばった。石垣島の離島ターミナルに帰ってきた下里さんたちは、たくさんの大きなクーラーボックスにいっぱいのタマンやオオマチ、クチナジ、ミーバイなどを持ち帰り、寝ていないのにも関わらず、嬉しそうな笑顔だった。
 今後は、県記録を増やして行きたいという下里さん。「タマンや、ゴマモンガラなんか狙いたいね」奥様の千恵子さんがきれいにラミネートして飾っている写真は今後、もっともっと増えていくだろう。

磯から竿は使わず手引きで大物を釣り上げる!大石信夫さん

 大浜で居酒屋まるべを営む大石信夫さん、定治さん親子。店内には、信夫さんが釣り上げたガーラや釣り仲間の金城拓海さんが釣り上げたクブシミなど過去に大浜東海岸で釣れた大物の魚拓が壁や天井に飾られている。
 磯釣りはもちろん、時間があるときには船で釣りに出るというおふたり。
信夫さんは竿を使わず、自身が作った手引きの釣り糸で大物を狙うという。いろいろ試した中で、道糸は65号、針は35号のものが一番だそうだ。昔からこの方法で多くの大物を釣ってきた信夫さんは「ヒットすると10分ほどで釣り上げられるので効率もよく、捕獲率も高い。

竿で釣るよりも手ごたえがあって楽しいですよ」と話す。お店の経営と地域行事への参加で忙しい日々だが、おふたりにとって、釣りは生活の一部でもあり、楽しみである。定治さんのいとこの石野颯人くんと同級生の善岡祐輝くんは大物狙いの釣人中学生。週2~3回は大浜海岸でタマンやガーラを狙っているという。「できれば、毎日釣りをやっていたい」と話す2人の目標は、大浜海岸で75cmのタマンとメーターオーバーのガーラを釣り上げることだそうだ。

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