カースンヤーの願い

カースンヤーの願い

 7月17日に開催された石垣島大浜の豊年祭では、午後2時から大浜海岸にあるカースンヤーの浜で大浜の5カ所(崎枝、黒石、大石、大底、水元)の御嶽の神司が、東の海へ向かって祈願を実施する。これはカースンヤーの願いと呼ばれ、東の海から無人の船が流れ着いた故事を歌った東節(アガリブシ)をユークイしながら神司が歌うもの。東の海から無人で粟俵・米俵が積まれた船が流れ着き、黒石村に下ろしたことが歌われている。
 大浜の5カ所の御嶽の神司がこの浜に詰め、用意した多彩な供物を並べて、ロウソク・線香を焚いた。5人がそれぞれのペースで祈願に向けた準備をする光景は、古い時代を思わせるのどかなものがあり、浜風の吹く海原へ向かって静謐な祈願がおこなわれた。座っての祈願が終わると5人は立ち上がり、はるかな海から幸をかき招く仕草のユークイをしながら東節を朗々と歌いあげ、神へ五穀豊穣を祈願した。

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