あの世の正月、16日祭

あの世の正月、16日祭

 2月23日は旧暦の1月16日。この日は、お墓で家族が集い、いっしょに飲食を共にする行事、16日祭が八重山各地の墓場で行われた。先島に残るこの風習は、お盆に祖先の霊を迎えるのとの違い、墓で家族が集い、先祖に元気な姿を見せ、家族を見守ってくださいと、先祖に祈願するもの。前者は祖先を仏壇のある家に招いて祈願するのに対し、後者は祖先がいる墓へ出向いて人々が祈願する。祖先とのつながりを大切にするのは、共通しており、7月の祖先崇拝がお盆なら、1月の祖先崇拝が16日祭。先島は2度祖先を崇拝することになる。親類が顔を出し、互いに交流することで、アイデンティティーを確認することになる。亡くなった人の思い出を語り合うことで、若く辛いときの思い出が蘇り、反省するものが、古き良き時代の過去との絆を確認する。わざわざ出向いて来ていっしょに過ごす子孫を、先祖はうれしく見守っているとすれば、死者が眠る墓地ではなく、そこは今も死者がいて、子孫を見守る墓地となろうか。
 この行事のはじまりは、首里城に使える人々が城の正月行事のあとに、この16日に自身の一族で正月を祝ったことからだそうだ。16日祭の行事が残るところは、墓に大きなひさしがある。雨や直射日光を避けるためだ。

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