12月19日午後3時から石垣市名蔵の石垣島製糖株式会社では製糖開始式が行われた。挨拶に立った松林豊社長は「大きな5度の台風に見舞われたが、なんとか昨年の8万トンに迫る7万8千トンの予測がついた」と述べ、また糖度の回復が遅れており、この日の搬入糖度も13度を予測したが12度後半にとどまったことを報告していた。今季は台風の影響から四方に倒れているキビの収穫の能率アップにハーベスターの運用を75%に上げて取り組むことも取り上げていた。
この後、来賓挨拶では中山義隆石垣市長は、「(TPPの大筋合意で)この批准後、本市のみなならず、沖縄県の基幹産業のサトウキビ産業が壊滅的打撃を受ける恐れがあることから、県および関連団体と連携し、激変緩和や、経営安定化への強度など、国へ強く要望してもらいたいので、皆さんの協力をよろしくお願いします。」と、TPPによる貿易自由化が加盟国間で長いスパンながらも進むことが決まったことから、油断できないサトウキビ産業の行方を注視するスタンスを見せていた。一方で県の農林水産センターからはTPPに関する話は出ず、意識の乖離が目立っていた。
先の長い話に落ち着いたTPPだが、自由化の波は間違いなく来ることに変わりがない。
市価の6倍の値段とされる砂糖の国際的な経済環境は、影響力が絶大で、注視を怠れないものがある。
昨年同様に年内操業を実施したが、今季はTPP大筋合意の後の製糖開始式で、内容が長期の取り組みに決着したことで、注目度が弛緩した感は否めない。貿易自由化の波へどう対応するか。大型台風襲来地の八重山にあって台風に強いサトウキビの基幹産業は、農業の盛んな八重山には特別重要なはず。県との連携を強化する必要がある中、辺野古の移設問題で県の姿勢と逆行する中山氏のスタンスが、ある種、農業への危機感を述べる言葉の真実味を失っている。辺野古移設賛成の市長スタンスは、個人的な好みでのものなのか。石垣市の首長である中山氏。石垣市を背負う責任感が、安倍政権の米国追従と中国刺激策に加担する方に向かう理由が知れない。核持つ中国に対抗するに、核持つアメリカに追従するのを、積極的平和と称して、海外への自衛隊派遣を拡大強調する安倍政権。憲法を無視してしまえば、中国とアメリカの軍および軍需産業関係者の思うつぼではないか。そんな短慮で、選挙空白が長いだけの国民指示は短命な首相に、なぜ恩を売るか。 なお、今季2015/2016年期の製糖は103日の製糖日数を予定。来年3月30日に製糖終了し、搬入日数は91日でその間7万8343トンの原料搬入量を予定。