カヌー体験を楽しむ

カヌー体験を楽しむ

 赤土流出の代名詞の宮良川だが、楽しむこともできる川でもある。10月12日、県立石垣青少年の家が宮良川で「カヌー&自然探検」を開催。参加者28名がカヌーに分乗して、秋の宮良川周辺の自然探検を実施した。同青年の家では、毎年アンパルでカヌー体験を実施してきたが、今回は宮良川での初の試み。午前9時に赤下橋に集合した参加者は、割り当てられた船に分乗。10艇が下流の宮良橋まで、周囲に現れる動植物を観察し、ガイドの説明を聞きながら、パドルを操りながら川を下った。時折、ダイサギやカワセミなどの野鳥を観察するなどして、1時間半で河口の宮良橋に到着。参加者らは「よかった」「動植物がたくさん見られた」と、カヌー体験の感想を述べていた。
 宮良川は、カラ岳、水岳など大里集落周辺の水田地帯の水から、底原ダム上流からの水や、真栄里ダム上流のものなど、多くの水源を集めて流れる、県内第2位の規模を誇る河川で、土地改良区の代名詞でもあり、農業と切り離せない水系。しかし、土地改良の勾配が本土の同じ5%でつくられたために、大量の赤土を海に流すこととなり、大問題の河川となっている。今は、3%への勾配修正が取り組まれて、前ほどの苛烈さは弛緩しているが、サトウキビ畑の耕起タイミングに豪雨が来ると相変わらず海を赤くさせている。しかし、宮良川がこうして自然観察の場所以上に、海を守る取り組みを紹介する取り組みも共に出てくれば、赤土対策の関心度を上げる意味も付与されて、カヌー体験の意義深さは増してきそう。自然の家がそこまで踏み込んでいるか居るか否かは、定かではないが・・・。
 2012年から「NPO法人八重山星の会」が運営する同施設は、高い知性を養える場として、郡民の自然環境への関心度も上げたいとすれば、赤土問題も避けられないテーマでは・・・。

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