黒島の大綱引き

黒島の大綱引き

 八重山には、なんと旧暦の1月1日に、誰もが参加できる綱引きがある。そう、今年2月19日は旧暦の1月1日。この日、旧正月を祝う行事が今年も竹富町黒島の東筋集落で行われた。子牛の生産で有名な黒島は人口約200人の小さな島。その内陸部にある小さな集落の東筋では、日頃、地元東筋の島民や集落出身の郷友、観光客のほか、隣村の仲本からの応援の人、民俗研究者など、多彩な人が訪れ、珍しい旧正の行事に参加していた。正月ユンタを掛け合いで歌う場面は、集落の人々でおこなわれるが、綱引きは参加が可能。さて、八重山ではほとんどが新暦で正月を祝うのが一般的だが、農業、漁業など自然相手の就業者は、旧暦で行事もあり、旧正月ともなると個々の家庭で仏壇に供え物をするところも多い。ただ集落単位で行事を続けているところは珍しく、この黒島の大綱引きは、東筋村と仲本村で実施されている。自然相手の仕事についている人には、気象や旧暦や潮に合わせた作業はついて回る。まず牛の場合は知られていない。長雨で低気圧が続いた後の高気圧で、授精作業をする獣医師が忙しくなるのは、そのタイミングでメス牛の発情が各地で起こるから。また、牛の角を切るとき、いつもどおりの切った後の処置でも、満潮に向かっているタイミングでは、血が止まりにくく、困ることがあるという。出産が遅れた牛が多かったりすると、台風接近で低気圧に一斉に生まれて困ってしまうというのもあるとも。低気圧と満潮に向かう月の引力の影響は、農家には重要なポイント。キビの植え付けを大潮でする農家が多いことで知られている。旧盆にキビを植える人が多いのだ。漁業ではいわずもがな。魚が大潮で産卵するのは知れわたっている。引っ張る力が大きく働いて、植物が土から養分を吸い上げやすくなる。産卵もしやすいということ。ミクロの世界で引力がどう影響するか。まあ想像するほどに、いろんなことが思いついてしまう。さて旧暦の1日は地球の裏側で引力が利いている。そこには地球の自転の遠心力がかかると、大きく引っ張られて、月から遠い海面の水位が低くなってしまう余波で、反対側でも満潮がおこる2次的引力&遠心力効果が、新月の大目の満潮だ。満月クラスではないにしろ、新月クラス、旧正月のお昼の13時33分から最大干潮から満ち出す勘定で、20時29分の最大満潮へ向かって月の引力と遠心力は、しっかり利いていることになる。こういう日の14時から綱引きをする効果は、月の引力と地球の自転の遠心力を感じながら、新たな年を実感するという、おもしろい行事であれば、参加し甲斐はあるかも。大綱引きと「大」をつけても十分良いと、実感できる。ううむ、はぁ?、ちょっと考えすぎか・・・。

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