亜熱帯の八重山では、12月の初旬に森の中が神秘に包まれる。と、いうよりも、昔はそうだったようだ。今は、人の寄りつかない暗く湿り気のある御嶽などだけになっている。密かに地面からはい出して、広いエリアに赤いものが広がるのは、被子植物のリュウキュウツチトリモチだ。暗闇に赤いものがはい出して見えるのは、森が目に見えない生き物に支配されているかに、厳かな感じがある。沖縄本島から八重山諸島まで広範囲に見られる愛らしいこの神秘的な植物は、赤いものだけでなく黄色いものもある。しばらくするとすぐに茶色く変色して、華やかさはすぐに失せるのが残念。人の近づかない草むらをちょっとのぞいてみると意外なところにあるかも。