渡りの最中のアカハラダカだが、彼らは気が荒い。留鳥のカンムリワシは同じ猛禽類。しかも、体のサイズはカンムリワシが55センチほどだがアカハラダカは30センチ。そんな違いも無用とばかり、アカハラダカが渡りにとって大事なエリア。上昇気流が発生する山の一角にカンムリワシが現れると、突然に突進。カンムリワシは真っ逆さまになって、逃げ延びようとする有様。図体が大きくとも、爪が鋭くとも、空中ではアカハラダカの小回りの効く飛翔にはついていけない模様。陸の生物を襲うカンムリワシには、空中で獲物をねらえるアカハラダカには、かなわないということか。渡りを大群で実行し、適地を選んで個体数を増やせる種は、小さくとも野性味が違う。同種いっしょに渡りをする彼らは、猛禽類でありながら、一応、個々には縄張り争いの際のライバルだ。そこを仲良く移動できる知能もあることになる。なかなかだ。