5月30日、石垣島の北部の海岸でヒレグロイットウダイが群れている様子が見られた。
今、八重山のリーフ外縁部のサンゴは、多くがオニヒトデの食害にやられて、壊滅状態。実はオニヒトデの大好きなサンゴがミドリイシと呼ばれるサンゴ群。これはテーブルサンゴで知られるサンゴで、八重山のサンゴのほとんどがこれ。この被度の高さが被害のひどさにつながっている。今、もっとも多くの場所を占めていたミドリイシ類が食い尽くされて、ハナヤサイサンゴなどオニヒトデが食べていないサンゴらの繁殖拡大好機にある。で、リーフ内にはオニヒトデに食われずに済んだミドリイシ類が存在するが、どれも若い。やはりリーフ内は水温が上がりやすく、白化現象で死ぬ可能性が高い。復活するためには、リーフのサンゴが生き残ること。リーフ内には山の地下水が噴出している場所がある。そこのミドリイシが生き残ることになる。この日、ヒレグロイットウダイが群れる一角に、わき水を感じさせる水温が冷えた場所があって、そこに集まったまま動かない魚たちが見られた。山のミネラルもそこから噴出しているとすれば、魚には由緒正しいパワースポットということ。人が近づいても、気にしない彼らヒレグロイットウダイの様子は、実に不思議なものがあった。