三人がバイクで先頭集団を形成できた利点。そこには、別格のスタミナが3選手にあったから。従来なら、最終的にひとつになって、ランへなだれ込む形がそうならなかったのは、雨でスリップが怖かったことと、それでも3選手は、互いのデッドヒートで、先頭を維持できた幸運。極めて特異なバランスの勝利である。だから後続の出場選手のレベルが、スリップ難とデッドヒート相乗で限界に伸ばす先頭の強みの壁を、越えられずに終わった格好。日本選手が先頭集団に食い込めなかったのは、果たして実力の差だけか。自国のコースであれば、雨で路面が危険に晒されて、それが逆にチャンスになると、徹底した路面研究も可能だったのでは。考えてみれば、コースの研究ができる時間と空間が与えられていない。大会の開始ギリギリで交通制限で走ることができるようになるというのは、元来変だ。JTUも遠慮しすぎでは? 加えて、協議開催中の急カーブでの雨水の排水は、競技者の走り抜けるタイミングで不公平が発生しないか。元来、何がコース上で起こってくるかは、あらかじめ予測するのが競技者では? そこで路面研究の腕が問われてくることで、バイクコースの細かな走りを独自にする技が発揮させられるのでは。力勝負だけでない部分があっていいはず。さて、ランキングの高い選手が今回来ていない石垣島大会。世界水準のトライアスロン競技者が戦うレースは、「世界トライアスロンシリーズ」に入っている横浜やサンディエゴなどの大会へ偏っている傾向がある。ITUトライアスロンに出場する選手のランキングでの上位者は、一つ下のITUワールドカップレース(石垣島大会がこれ)にはあまり参加していない。いうなれば、五輪優勝水準のAクラス選手は、もう石垣島大会へは参戦してこないと言うこと。男子で競り合った3名は、ランキングでは10位より劣る。世界戦の最前線には、この石垣島大会はなくなったことになる。これはいつからなのか。このワールドが石垣島ではじまるきっかけは、シドニー五輪を目指して世界のトップアスリートが石垣島に集まるイメージからだったはず。誰がこうしてしまったのか。あれから石垣島は競技場として進化したか。市民の見る目が肥えたか。これはトライアスロン競技への関心ポイントが国民の間で増えたかどうかにもかかっている。今回、一般のエイジ部で残念なことに一般アスリートが競技中に亡くなってしまった。医療チームの体制は万全だったか。AEDは機能したのか。今後は健康診断が必要となるのか。潮の流れの厳しくなる状況を予測できていたか。時刻で違ってくる潮の流れの状況を、つかめるようにしてあったか。この予測が、大会側でしっかりリリースできれば、開催地としてのグレードがアップし、そこで逆に進化したレースができる場所として、アスリートが集まってくれる場になるのではないか。選ばれる会場として、石垣島大会の会場は、トップ選手の側からの選択レース途上にある。もちろん一般選手からも同様だ。力は貯められるかだ。