2月26日午後4時20分から石垣市商工館ホールで石垣市とイオン株式会社との地域貢献協定締結式が行われた。これは石垣市と琉球イオンがこれまで石垣産の物産品販売拡大および地域防災に関して協定を結んできた経緯から、また一段高い協定を締結するもの。石垣市とイオン株式会社(イオン本社)が持つ資源を有効に活用して、石垣市の活性化と市民サービスの向上を目指すべく、取り組む協定を締結。11項目にわたる分野で協力していく。
ICカード等の活用、観光振興、地域防災、地域安全・安心、健康増進・食育、高齢者・障害者支援、子育て支援、青少年育成、環境保全・リサイクル、市政情報PR・発信のほか、すでに2011年に琉球イオンとの間で交わされた物産販売奨励協定(6月)、災害時における被災者に対する防災活動協力に関する協定(9月)の2つを含めた包括調印。琉球イオンからイオン本社へ規模拡大のバージョンアップとなる。
これを機に、協定調印後の取り組第一弾として3月1日に「石垣島ゆいまーるWAON」をイオンが発売するのをこの日同時発表。このWAONカードは、利用者の利用金額の0.1%を石垣市へふるさと納税する形で、画期的な地域貢献ツール。イオン店舗にマクドナルド、コンビニのcocoストア、沖縄アウトレットモールあしびなーなど全国15万7000のwaon加盟店で使える。今回約3万のカードが発行予定。すでにこの種のカードは全国で試みられており、沖縄でも「おきなわエイサー」「首里城」の各WAONカードが発売され、エイサーは70万、首里城は360万のふるさと納税が行われている。
なお、ここでの注目は、1000円分の利用で石垣市に1円寄付されることではない。所詮もどった1円で999円は取り返せない。島からお金が、島内流通する間もなく、ダイレクトに島外に吸い出される大型店舗の吸金力。そこを行政サイドが支援するのは、少し変ではある。上手に建前を市民サービスの向上におくも、無理がある。マチヤグァーやほかの大型店舗はおもしろくなかろう。特に通貨が島内流通せず、即島外に吸い出されるのは、何とかしたい部分。と、実は、そうではない。このWAONカードは、フェリカポケット機能が搭載できる。その機能をつかって地域ICカード協議会や各種組合と協力して地域マネーを発行しているところが実際全国にある。そうWAONカードは地域貢献に力を入れているのだった。このフェリカポケット機能搭載のWAONカードは、ICカードの本機能以外にポケットがいくつか用意されている。購入金額に対し、様々な割合のクーポン券的なポイントもつけられるのだった。アトム的地域通貨の電子版にも当然使える。また独自に一店舗から設立組合まで、ポイントを自由に設定可能だ。様々な工夫で島内流通通貨が増えれば、景気もあがる。ものがなくなれば、労力購入の手段として使えるはず。買うものを安さでなく、愛着ある島で生産される、作り手の思いといっしょに買う形で流通が機能すれば、地産地消と新鮮かつ栄養豊富な安心野菜を手にでき、見てくれに振り回されない健全な暮らしが、成立してくるのではないか。しかも、その購買行動にポイントがつけば、実に誇らしい。
アトムが「あやぱに」、あるいは「やいま」、「ゆいまーる」、「ゆい」と、地域の言葉に変更されて、通貨になれば愛着も深まる。問題は、これを機に生まれてくる島産商品の品質管理。厳しい管理が要求されよう。おっと、まだ先のこと。気が早すぎるか。
<考察> WAON活用の加盟店が増え、店ごとに工夫してアトム通貨のプレミアムが乗せられれば、やがてアトムポイントの蓄積で商品との交換がはじまると、アトムは島で回り始める。サービスポイントも、換金をしっかりできる規模に成長させられれば、地域通貨である。店がアトムで仕入れを決済。地域でアトム通貨にプレミアムをつけ、アトムでなければ買えない商品が設定されると、換金ならぬ換アトムする人が増え、アトムがボランティア活動で高額得られるとすれば、人手も得られる。それまた相場が上がる。アトムへの理解が高まれば、給与が40%ほどアトム支払いになるとか、野菜がアトムで買うと安く買えるだとか、JAがアトムで農業資材を売れば、生産者がアトムで資材費を用意する。地域に流通する生産物の販売奨励に、アトムの相場で、コントロールできる。島内生産物から先に売れていく。そして、アトムは地域のものになる。地域に回る通貨が多ければ多いほど、人の手に巡る機会が増え、景気は上向く。金があるから買う。ものがあっても、財布が空ではどうしようもない。生産者、製造者、サービスマンそれぞれが、価値に値する額を手にできるように、生産調整、地域通貨の流通調整をして、地域を支える。労働者の最低賃金に10%のアトムをつけるとかすれば、アトム手当・アトム賞与だ。それで得られる政治的決定こそ、本当の政治だ。どうだろうか。石垣市商工会が長年取り組んできた地域通貨で島のモノ金の流通量をアップさせ、島を富ませる試みは、着々と進んでいる。