アンパルでの不可解探訪

アンパルでの不可解探訪

アンパル湿地。ラムサール条約の指定湿地に憧れ、その取り組みに尽力した時代があった。日本最南端八重山諸島のアンパル湿地のすばらしさを多くの人に知ってもらう意義があったからだ。2005年に登録された段階で、その指定の遅さが惜しまれたのは、すでに環境破壊が進んでいたから。隣接する石垣島製糖工場からの廃液でダメージは著しかった。経済が優先された島だったからだ。新空港の白保海上案がごり押しされた時代がその象徴だ。さて、ラムサール登録時は、野鳥が集まるアンパル深部のサンクチャリ(野鳥の聖域)には人は入り込まなかった。登録後、また2007年の西表国立公園に編入されてからは加速的に、サンクチャリに入る人の数は増えた。しかも、ガイド用なのか、それまでなかった所に、道らしきマングローブが途切れて歩きやすくなったエリアがマングローブ林内に現れ始めた。多少様子が変わってもわからないだろうと、手を入れる人種は、島のことをよく知らない。昔から出入りする人は、痕跡を見ればどんなに時間がたっても、人為的な変更だとわかる。どこに何があるか知っているからだ。わざわざサンクチャリに入らなくとも、一歩アンパルに入れば、無数のカニが現れる。充分堪能できるアンパルだ。野鳥の聖域に入れば、彼らの安住の寝床がなくなる。やめてほしい。一時はアンパルでゴルフの打ちっ放しをする人や、ペットを連れて放つなどする人など、不可解な人が増えたアンパルだが、環境省が率先してサンクチャリに人を連れて行くなど、最悪最低なお笑い保護。情けない自然環境反古である。アンパルの価値が、どこかの紙に書いてるモノを読みさえすればわかると思い込む、デスク上の平板な発想の官僚に依拠するしかないのか。しっかりしてほしい環境行政。省益貢献しか頭にない連中の異動入れ替えに、島は唖然とするばかりだ。西表国立公園が拡張したらもうやることがないといわんばかりだ。環境行政を進める彼らが何しに来るのか、よく見ていなければいけない。環境庁時代の肩身の狭さを克服しようとがんばった先輩らに、顔向けが立つのか。島に生まれるNPOや任意団体も、自然保護・経済関係問わず、島出身者が軸のものか、島を知らない人が軸のものかよくよく見切る必要がある。国家公務員は話しやすい本土移住者に、引っ張られていないか。昔からそうだから、疑ってみたくなる。島では、見えないところで亜熱帯の珍しい動植物が多数盗掘され売られている。その斡旋を積極・消極様々に関与する人の数が増えていないか。話がうまいと言うことは、そういうことも、下手ではないということ。警戒して、過ぎることはない。がんばれ自然保護官。

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