春近しクロサギ踊る

春近しクロサギ踊る
春近しクロサギ踊る

2月11日、建国記念日のこの日、うららかな春を思わせる日和が八重山を包んで、最寒の時節を忘れさせている。石垣島新川の新川川河口では、クロサギが餌を求めて波打ち際に立ち、小魚をねらって鋭い目線を周囲に走らせていた。このクロサギは見ての通り黒いクロサギで、石垣島では白いクロサギが多数おり、白と比べて黒は嘴が下向きで、少し様子がちがって見える。体の大きさや色からするとまだ若い方で、人が近くにいても気にせず餌取りに夢中。ミサゴが飛来して魚をねらうも、水中の透明度が悪いせいか、一度もダイビングせず飛び去った。この日は、いつも投網をする高齢者が新川の海を見つめていた。捕る魚はボラが多く、それは飼い猫用で、自身で食べることはないと、翁はにやりと笑う。波打ち際には2・3日前には見られなかった藻が多数打ち上げられ、いままでにない光景を見せている。これも一種の風物詩で、藻が波打ち際に多数見られるようになると、投網シーズンは一旦幕。春めいてもまだ安心できない冬の真っ最中だが、緩んだ日和にひと雨ごと、気温が上がる季節が間近に迫っている。春近い旧正月2日の光景だ。

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