八重山農林高校アグリリサーチ部が国際会議で口頭発表

八重山農林高校アグリリサーチ部が国際会議で口頭発表

 県立八重山農林高校のアグリ・リサーチ部の高校生が国際舞台でバニラ栽培の取り組みを発表する。これは、2月2日から11日まで海洋博公園の熱帯・亜熱帯年緑化植物園で開催される第11回アジア太平洋蘭会議・蘭展沖縄大会(アジア パシフィック オーキッド コンファレンス イン 沖縄 通称APOC)でのもの。2月5日の研究発表で、県立八重山農林高校の生徒4名が参加して、「八重山におけるバニラ栽培の実験」をテーマに口頭発表をする。
 11回を数えるこの国際的蘭会議は3年に1度、各国持ち回りで開催されており、日本では東京・福岡・名古屋に次ぐ4度目。沖縄初となるの国際大会で、毎年沖縄で実施している沖縄国際洋蘭博覧会と今回同時開催で行われる。アジア太平洋の蘭愛好家や研究者が集うこの会議で、地元の高校生が口頭発表するのは異例。参加する八重山農林高校アグリ・リサーチ部は、放課後に活動する課外活動のクラブ。彼ら4人は、学校の授業が終わると、農業に関する様々な調査に取り組んでいる。中でも元株の不明な蘭できれいに咲く蘭を譲り受けたり、種子を培養し、株を増やすなどして名のない植物に商品名をつけたり。できた苗は希望の農家に廉価で販売してみたりもする。そんな彼らが2011年8月にバニラの苗を手に入れ育成。ほぼ3年間、バニラ栽培とバニラの香りが豊潤になるようにキュアリングという保存処理の方法をチャレンジ。
 今回、これらの活動が評価され、沖縄初の国際蘭会議に発表をと、白羽の矢が立った。当初はポスター展示をと声がかかったが、意欲満々な彼らは口頭発表を申し出て、国際舞台でのデビューが決まった。課外活動が国際会議の舞台に立つまでに実りをもたらしたことは、秀逸。発表者の高西祥ニコール君は熱帯園芸科3年。「高校生らしい発表がしたい。バニラが八重山でできることをアピールできれば、やがて地域振興の役に立つものとして注目されれば」と、夢を語った。
 発表をサポートする松村翔健君、仲里裕治君、宮城正隆君の3名(熱帯園芸科3年)はプロジェクターに映すパソコンのデータの表示係などの裏方。15分間の発表は、資料も英語に訳され、同時通訳が入る。同部の顧問船越秀輝先生は「バニラが蘭であることも知られていません。バニラの生産で有名なマダガスカル島は、赤道を折り返しての緯度が同島南端と八重山とは同じになる緯度24度。」将来性が伝われば、影響が楽しみだとも。先生は同クラブは下級生がいないのが最大の難点とか。3年生が卒業すると、次ぐ生徒がいない。「新入生に期待したい」と船越先生。
 観光地石垣島のお土産品に国産バニラの高級菓子が並ぶ日が、いつの日か生まれるかも。今回、渡航・宿泊費は発表者の高西君の分は大会側からだが、3名のサポート役の分は八重山農林高校後援会が資金援助とのこと。

 ビニールハウスでバニラの鉢を前に4人が並ぶ写真は、左から、松村君、高西君、仲里君、宮城君。

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