野鳥たちの連携

野鳥たちの連携

何気なく見ているシギ・チドリは、可愛い野鳥で、海を渡る達人であるより、海浜や水田などの水辺をあさる野鳥として、見ていないだろうか。彼らの身近な存在感に対し、実際は遙かユーラシア大陸やアメリカ大陸の北部で繁殖するたくましい野鳥だ。一時、冬の寒さを避けて南へ渡っている旅の最中の野鳥たちなのだ。生まれは北国。彼らは、陸の猛禽類を避けながら、時には島影のない海を渡ってくる。八重山の島々に着き、しばし休養する。そのまま越冬するものもあるが、ほとんどはもっと南を目指す。8月、9月に南の島へ来れば、台風という、北の世界には見られない、風の怪物に遭遇する。寝泊まりする場は、天敵を避けたい多くの野鳥といっしょに隠れる。周囲に、野鳥がいるのを確認して、彼らは餌をあさる。そう、旅の間、彼らは彼らなりの流儀で連携をなす。写真を見て、周囲の仲間の翼が風を切る音とともに、彼らが絶海を渡るのを想像すると、身震いしてしまうのは記者だけか。

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