美しいサバニ操船 一番エークと舵のシンカの目が勝利のカギ 旧暦の5月4日は、ユッカヌ日と呼ばれる海神祭が行われる日。海で働く人の伝統行事が行われる日だ。沖縄本島ではハーレーと呼ばれるが、八重山ではハーリー。爬龍船競漕がおこなわれる。八重山にかつてあった大海洋祭マンタピア八重山は、石垣市では爬龍船競漕、竹富町ではカヌーツーリング、与那国町ではカジキ釣り大会の海の行事に冠されたもの。伝統のハーリーと一般参加の爬龍船競漕がいっしょになっていて、現在の形になっている。糸満ハーレーと那覇ハーリーは違うように、元来は違う行事。もともとのハーリーは、ウミンチュが竹富島と石垣市街地の漁港を行き来して、爬龍船サバニのスピードを争った。ゴール前で競るときには、櫂が武器になって、喧嘩になったとされる。加わる者は、水杯を交わして、命がけだったという。今は、そんなことはない。平和な行事である。さて、なつかしいマンタピアなる言葉は、梅雨明けとともに行われる海のカーニバルで、梅雨明けがある種、観光シーズンの幕開けをアピールする意味があった。今は、年中観光シーズンである。もはや、聞かなくなって久しい。 実は2007年からマンタピアとは切り離されて地元行事として開催されている。かくしえ、平成24年度第106回石垣市爬龍船競漕大会が6月23日石垣漁港で開催され、多くの市民が会場に詰めかけた。海で働く漁業者の伝統行事として、伝えられる海神祭は安全操業と豊漁を祈願して爬龍船競漕が行われるもの。神への祈願で行われる御願ハーリー(うがんばーりー)、爬龍船の復元力を競う転覆ハーリー、地域を代表してスピードを競う上がりハーリーの3種が、東一組と東二組と中西合同の3組で競われる伝統行事がおこなわれる。このほか、中学生対抗ハーリー、団体ハーリー、水産関係ハーリー、マドンナハーリーといった一般参加のレースも行われ、石垣市爬龍船競漕大会として多くの人で会場は毎年賑わっている。今年は慰霊の日と重なり、正午には黙祷を捧げるなどして、恒久平和を願う厳粛な時間もあった。結果は、御願ハーリーと上がりハーリーを制した中西合同が、総合優勝して5連覇を達成。2位が東二組、3位が東一組。上がりハーリーを制した中西合同の代表として出た西組の一番エーク(先頭の船乗り)の具志堅用純さん(27)は、「1番エークは2度目です。上がりハーリーは最後のレースなので待ち時間が長く、落ち着かないので困りました。今回、西組が中西合同の代表として上がりハーリーで勝てたのは本当にうれしいです」と言葉を弾ませていた。その他の成績だが、中学ハーリーは石垣中学野球部が1位、2位は二中サッカー部、3位は二中2年チーム。団体はトライアスロン島つり具が優勝。2位はNFS川良山グループハーリークラブで3位は石垣市消防本部。マドンナハーリーは、1位が石垣波乗りレディースで、2位はJTAサザンスカイサービス、3位はチームちゃり子。水産ハーリーは1位は海上保安庁石垣航空基地、2位は石垣海上保安部、3位は八重山漁協。団体も悪くないが、ウミンチュの本バーリーの迫力にはかなわない。女子はその点、花があっておもしろい。マドンナ1位の石垣波乗りレディース マドンナ2位のJTAサザンスカイサービス マドンナ3位のチームちゃり子