今期、愛鳥家の間では、何度も話題になっている話がある。毎年八重山には多数の冬鳥が訪れて、バードウォッチャーを喜ばせているが、今期はなぜか冬鳥が少ない。まず冬に数多く訪れるアカハラやシロハラがほとんど見られない。カモメ類も少ない。かろうじてウミネコが見られるだけ。そんな中、2月17日、石垣島新川川河口にユリカモメが1羽飛来して、羽を休めているのが見られた。アオサギとチュウサギのそばに舞い降りて餌をついばんだり、飛び立って海に向かって姿を消したと思うと、またもとの場所に戻ったりと、慣れないためか警戒心が高い。例年、この河口に舞い降りて越冬するユリカモメは普通にあるが、今期は破格に少ない。ユリカモメはユーラシア大陸北部・イギリス・アイスランドで繁殖し、冬は南下して越冬するユリカモメ。日本には冬鳥として北海道から南西諸島まで幅広く飛来する。赤道近くまで南下するものもあるとされる。ユリカモメの「ユリ」は「百合」。英名はブラックヘッデッド ガル。夏羽は頭が黒いからだ。ユリカモメの命名は、彼らの冬の姿しか知らないためついた名だ。野鳥の世界は、わからないことがまだまだ多いといえそうだ。