このほど石垣市立図書館の郷土関係資料室の入り口付近に竹富方言辞典が展示されている。これは、第59回菊池寛賞が10月19日に発表され、八重山から竹富方言辞典が受賞(著者と出版社)したため。沖縄県内では3例目という珍しい受賞で、なじみの薄さからその紹介のための展示だ。同図書館の計らいでもある。「菊池寛賞とは何?」といった、同図書館への問い合わせが増えているのもあるとのこと。確かに小説家の新人賞として注目される純文学の芥川賞、大衆小説の直木賞に比べてなじみはない。広範な文化活動へ贈られる菊池寛賞であれば、つかみどころがない。しかも、賞自身が中央の大きな賞であるだけに、マイナーな方言の辞典を、元教師がコツコツ調べ上げ、教え子が編集に取り組んで、しかも日本最南端の出版社が出す辞典の受賞は、誰が予期しえよう。これは、本土の古の言葉がこの方言に残っているのを、しっかり把握した文化人の影響力なのか。もしかしたら、言語学の世界で何か起こっているのかも・・・。今回、同賞がなでしこJAPANの沢誉希選手への贈られている。この話題性の影になっているのは確かだが、同賞受賞は八重山地域には画期的なこと。なにしろ全国版の賞が八重山の発行書籍に贈られるとは、文化活動が盛んな地域には夢のような話。同図書館内展示場所には、各マスコミの記事コピーも展示されている。多くの市民に、全国へ向けて誇れるこの出版物の発行を知ってもらいたい。受賞発行から即おこなわれた展示には、そんな思いが、こめられているようだ。