4月6日午後2時半、川平の海岸に沖縄県土木事務所職員二人が海浜実態調査に訪れた。これは、4月11日より海岸への車の乗り入れ禁止を告げる看板が突如立てられたことに関して、川平のダイビング業者、漁業者、公民館関係者のなどの川平住民数人が県に説明を求めたもの。この日、集まった人々は、何の説明もなく突如県土木建設課が禁止の看板が出たことへの不信感を露わに、県職員らにことの成り行きを質問。県は海浜利用状況を把握しているのか。乗り入れ禁止に対する影響をどう見ているのかと。これに対し職員らは、「これまではこんなことはなかったが、電話で問い合わせがあり、現場サイドが看板を設置した」と説明。住民への説明がないことへの質問には、車の乗り入れを禁止する条例があることを繰り返すにとどまっていた。日頃から海浜を利用する地元側は、海岸へ車で入れなければ、仕事ができない事情を説明。漁業者は重い網を運べず、ダイビング業者もボンベや機材を運べなくなる。また、川平のグラスボートが燃料を入れるためには、この海岸に車両を入れ補給をしているとのこと。この突然の措置はあまりに実態を無視した行為だと、集まった人は県職員に反発を露わにした。県側は、県の条例に従った措置としたが、持ち帰って調整を実施することを言明。今日明日にも回答を約束していた。かくして7日は、地元側3名が県担当者の回答を聞くも全く進展はなく、互いに話し合ったものの、話は平行線。地元側が2案を打診。ひとつは地元住民との話し合いの場を持ち、その間は看板を撤去する。もうひとつは利用者へ通行許可証を発行するというもの。明日の午後にも回答が出る模様。川平の関係者は、突然の禁止を告げる看板に「これまで18年間、こんなことははじめてのこと」と、一方的な行政の行動に憤慨の色を隠せない。ダイビング業者のひとりは「われわれは海浜の清掃も実施している。元来、ここに港を建設してほしいところ。海浜にコンクリは環境によくないから、不便ながら自然の海浜のままに船着き場として利用している。これではコンクリでつくる港の建設を県にお願いするしかない。」とのこと。海浜の環境保全のための看板がきっかけになって、海浜にコンクリでつくる漁港建設を促したことになる皮肉な現象が見えてきた。地域の活動や島の実情を知らない人からの、一方的な県条例の行使を訴える声がインターネットなどで盛んになりつつある。環境保全を盾に地域に混乱を招いこうとしている。かつて、島外の住民を当てに新空港建設反対派が1坪地主を募った。これに対し、環境保全を利用して売名に走っているのではないかと問題になったことがある。環境を名乗りながら、島の実情に疎い人々による、一方的で短絡な環境保全の訴えは、何の役にも立たない。これまで海浜を利用してきた地元からは反発しか生まず、これまで培ってきた島全体での環境保全の取り組みも熱が冷めかねない。思いこみと思いつきでインターネットへの書き込み熱に浮かれる一時的な環境保全派に、行政が翻弄されて、地元が迷惑することは避けて惜しいところ。注目され、反応が多いことを目指すインターネットの世界では、石垣島の自然を守るとする立場であれば、上手にネタにされやすい話。環境団体で名をあげたいがためにスタンドプレイをしたがる姿勢と合致して見える。根拠の薄い思いこみを主張することでも、環境保全であれば何でも賛同してしまう人が多数集まると、また地元には迷惑な事態が生まれてくることになる。島の自然を大事に思う気持ちはわかる。しかしそれを実行するのに何が必要かは、島の実情が見えてこなければ、いえないのは、誰にも分かることだが。