物資の海路運搬が国内移入か国外からの輸入か。直接やれば、どっちなのかはっきりしてしまう。台湾も中国もそれは放っておけない重要な事態。第三国経由であれば、問題はなくなる。かくして日本へ一旦輸出された形にするだけの、石垣港に下ろされない品が、石垣港クリアランス船投錨地に溢れかえった時代があった。台湾・中国の船は日本経由の手続き書類がほしくて、大挙して入港してきたのだが、移入にすれば関税がかからない。輸入にすれば関税がかかる。台湾は関税を払ってきたことになる。経済的には関税ゼロが良好な形だ。これが特別石垣市を活性化させることなく、今収束に向かっている。中国が活性化する様を、見てきたことになるのだが・・・まさに徒花のクリアランス船。紛争の可能性を抱えつつも、中国の特区における活性化で台湾と中国間で活発な貿易がおこなわれて、2国の政治的な対立を残しつつ経済的な利得を享受してきた中台は、いよいよ両国間の物資の行き来を自由に近くするべく、今年6月29日に協定を締結。中国は譲歩して、500品目の関税を下げ、台湾は約200品目の関税を下げる自由貿易協定に相当する経済協力枠組み協定に調印。3段階にわけて徐々に関税を減らし、最後はゼロにするというもの。中台間全体の貿易量の10%から16%が対象となる。8月5日、石垣港の前に広がるクリアランス船投錨地は、もぬけの殻。元来、これが石垣島の海である。かつてクリアランス船の寄港地石垣島は、トン税が入り、濡れ手に粟といわれた。しかしこの臨時収入も、国の財政難から逆に国からの交付税がその分減らされ、臨時収入がチャラになる時代に入れば、クリアランス船にうま味はなくなった。ただ海難などのリスクが横たわるだけ。かくして、静かな海を取り戻した石西礁湖だった。