大勢の観光客が出入りする竹富町のとある離島の港で、全長約30センチのエリグロアジサシ約20羽がコロニー(集団繁殖地)をつくって、子育てに奔走している。場所は小島でノッチの上部に樹が繁茂。ちょうど雛を隠すのに好都合な様子。8月4日には、成体のサイズ近くまでよく育った雛が、餌をねだってノッチで監視する個体に近づいて鳴いているのが見られた。雛を監視する役と、キビナゴなどの小魚をくわえて帰還する役を雌雄で交代しつつ、雛に餌を与えていた。エリグロアジサシは岩のくぼみに1個から2個の卵を産み、雌雄交代で24日間抱卵するとされ、生まれた雛は、28日で巣立つとのこと。巣立った雛は親と繁殖地に2週間とまったあとに親鳥と共に去っていくことで知られる。エリグロアジサシはチドリ目カモメ科アジサシ属の種で、準絶滅危惧種。インド洋、太平洋南西部、東南アジアの島々、オーストラリアの北部で繁殖。日本では夏鳥として奄美以南に飛来して繁殖する。くちばしの基部から眼を通り後頭部へ続く黒い筋模様がある。熱帯や亜熱帯の海洋に生息する。このアジサシに気がついた観光客は、八重山の自然の豊かさを実感しながら、離島航路の船から飛んでいるところをカメラ撮影して、旅の記念にしていた。