島の持続可能な経済発展と自然環境の維持を両立させる先進的な取り組みが、石垣市商工会が軸になって始まって2年目になります。経済活動の活性化にともない、二酸化炭素の排出がエスカレートする現実。経済振興と自然環境が両立し得るのか否かは、実は真新しい議論ではなく、すでに国は京都議定書から二酸化炭素の排出権の取り引きを、世界で認可されるように、長年取り組んできました。世界へ低炭素社会の実現へのシステムづくりを提唱する一方で、低炭素社会の実現へ向けた国内向けの取り組みは遅れていたといえます。 そこを挽回するかに、今年から経済産業省が環境負荷低減国民運動支援ビジネス推進事業をスタート。国民運動としての取り組みは初となる事業です。全国13箇所で始動しており、九州沖縄では3カ所。沖縄唯一となるこの事業の適用先は、石垣のこのブランディングプロジェクト。県内唯一の取り組みです。昨年は全国商工会からの補助金でしたが、今年からは国からの直接のこの補助金に昇格。有望視されています。11月7日午後3時から第2回のブランディングプロジェクト委員会が開かれたあと、4時15分から記者会見がおこなわれました。冒頭、同プロジェクトをスタートさせた大原正啓商工会長が挨拶に立ち、「我々が住みよく暮らせるには、世界の人が皆幸せになるように考え(る必要があり)、そこで個人で何ができるか。グループでも何が出来るか。そういう観点で、商工会が取りくんだのが、この取り組みです。商工会の取り組みとしては、これまでのものとは異質に感じられるかも知れませんが、この取り組みが、経済循環を扱っていることは、(商工会も)消費生活と社会生活の循環の中にあると認識して、取り組む趣旨もありますので、皆さんのご理解をお願いしたい。昨年から委員長をはじめ委員の皆さんが、熱心に取り組んできており、今年はまた新たな取り組みを見せますので、皆さんに注目していただきたいと思います。」と集まった記者団に述べていました。このあと島田委員長から、その「新たな取り組み」について話がおこなわれ、明日11月8日午後1時に、カーボンオフセットツアーの一行35名の石垣入りが発表されました。島の自然について学習するエコツアーと植樹でのカーボンオフセットをするモデルツアーです。カーボンオフセットツアーとは、旅行することで使うco2を、オフセットしながら旅をしようという旅行形態。航空機燃料とバスの排気ガスで出るco2の分を、植栽することで相殺するというもの。この植栽を観光メニューに入れることで、環境に優しいツアーとして、全国の石垣島ファンにアピールすること。今回は空の旅で使う航空燃料とバスの排出分である110キロco2を、フクギ一本12キロCO2で計算。フクギ10本の植栽でクリアする形です。また、来年2月1日には、イベント「石垣島ライフスタイルフォーラム2009in美崎大通り」が開催されることが発表されました。美崎大通りを歩行者天国にして、エコに関するアトラクションを大がかりに実施するというもの。参加型のイベントでco2排出削減に役立つ行為には、エコポイントを進呈。エコポイントのやりとりを通して、環境が守られる行動から価値が生まれるシステムを、実体験してもらうというもの。これまでにない環境と経済活動に野心的な取り組みがおこなわれるとのこと。石垣市商工会が環境保全活動(エコ活動)を島の経済の持続可能なファクターとして認知し、そのチャンネルを持とうと取り組みだしていることは、全国ではじまりつつある低炭素社会の実現と連動する新たな経済活動と軌を一にしている観があり、今後、注目の取り組みといえます。