大分県宇佐市長が白保の海垣(インカチ)<沖縄本島では魚垣(ナガキ)>を視察に訪れた。
九州市長会が5月15日に石垣市で開催されることから、5月14日に石垣入りした宇佐市長が午後3時に石垣島白保にあるWWFジャパンしらほさんご村を訪問。魚湧く海協議会の会長、山城常和氏とWWFジャパンの上村真仁氏ともに、八重山諸島で再現された潮の干満を利用した伝統漁法の石積み、海垣(インカチ)を視察。青い空、青い海と、海岸沖で白い波しぶきを見せる沖縄独自なリーフをバックに展開される海垣を確認していました。
宇佐市では石?(いしひび)と呼び、本土では一般的に石干見(いしひみ)とは呼ばれるもの。どれも石を積んで海を囲い、潮の干満を利用して魚を採る漁法施設。宇佐市では2006年に観光施設として宇佐市豊の海観光協議会(地元の漁協や市民グループなどでなる)が50年ぶりに1600万円で復元を果たし、体験型観光施設として利用。また、宇佐市長洲中学校では、53年前に使われていた石干見を再生。その活動をインターネットで知った白保小学校と白保中学校が、同じ時期に白保に昔あった海垣を復活させる活動をしていたことから交流がスタート。
最近、長洲のまちづくりに取り組む市民団体「長洲アーバンデザイン会議」が、今年3月21日に「第一回日本石干見サミットin長洲」を開催。宇佐市の長洲中学校で開かれ、石干見がある長崎県五島市、諫早市から関係者が参加。石垣市からも参加して白保の海垣(いんかち)を紹介している。このときの縁で、今回の宇佐市長の視察がなった模様。
九州地区で地域活性化を目的に、石干見を復元する取り組みが、同時に始まっている偶然は、体験型の観光の普及にある。白保の取り組みには、自然と人の暮らしとの接点を見直す活動が根底にある。地域憲章を掲げて、村が一丸となって取り組む活動の一部分であり、広範囲に取り組まれている地域活動の一端。観光振興に直接関わる形とは、少し趣が違っている。観光は、島が元気であれば旅人が自然に訪ねてくる。地域の人々の自然なホスピタリティーが核となってこそ、その接点もより楽しいモノとなります。観光サービス施設ではまったくない。そういう意味では、アクセスしづらい何もない海垣に、市長は少々戸惑ったかも。
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